変身ヒーローになったはずだった

鹿野プフ

プロローグ

「ファイアータイフーンキーック!」


「ギャアアアアアアアア!!」

ドーーーーーン!!


「正義は必ず勝つ!ハーッハッハッハッハ!」


「ありがとうメチャツヨマン!!」

チュッ♡


「ハーッハッハッハッハ!」



熱狂こそしないものの、

17歳引きこもり俺はヒーローに憧れていた。


とにかく強いヒーローに男として憧れた。


毎回現れる絶対的な悪者をヒーローが倒す、

そのわかりやすい毎日に憧れた。


「変身!」


ヒーローに変身できればこの負け犬人生から抜け出せると信じているから。


変身してヒーローになって、現れる悪者を倒す。

そんな生活を手に入れれば俺はみんなの唯一無二の英雄ヒーローになれるから。


EDが終わり

次回予告が流れるのと同時に俺は、

TVの電源を消し

座っているベッドに横になり目を閉じた。


カーテンの隙間から差す光が眩しい。

社会からこぼれ落ちた俺が眠りにつくのは

社会の歯車達が通勤通学する時間だった。


起きたらまたDVDを見て、

変身ポーズを決めよう。



早くヒーローにならないと、

僕はこの先ずっと引きこもりのままだから。

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