ビーストハンター

佐渡 譲

第1話オリジナル近未来小説「ビーストハンター」ご紹介

温暖化による海面上昇に追い討ちを掛ける様に、世界で大災害が頻発し、東京が海の中に水没した近未来の日本。

気候は大きく変化して、暑い雨季と寒い乾期が交互に訪れるようになり、人々は沿岸部を捨てて内陸にネオ東京を築いた。

都市の中心には災害に耐えられる巨大ドームがあり、政府機関と共に政治家や資産家などの要人が暮らす特別居住区がある。

だが巨大ドームの周辺に暮す一般市民は、相変わらず他人事には無関心で、目の前で犯罪が起きても見て見ぬふりをしている。

国家の陰に隠れた巨悪は黙認され、抑圧された市民感情は鬱積し、テロや凶悪犯罪が横行して社会の治安は崩壊し掛かっていた。

治安の悪化に手を焼いた政府は、犯罪を犯した者の人権を剥奪し「ビースト=獣」と認定して処分する新治安維持法を制定した。

警察の手に負えない犯罪者を狩り出して始末する汚れ仕事を請け負うのは「イェーガー=狩人」と呼ばれる武装警備員だった。

殺人許可証を与えられた彼らは、雨の降る雨季も砂埃の舞う乾期も、シャルク=猟犬を従えて人権を剥奪されたビーストを狩る。

だが、その劣悪な気候や荒れた社会、病んでいる人々よりも、彼ら自身こそが時代が生み落とした邪悪な存在かも知れなかった。

これは、近未来に生きる人の心の闇から生じた不条理や矛盾との板挟みの中で、殺人と言う仕事を請け負う狩人達の物語である。


※「ビースト法」と言う法律は大分前に発想したのですが、米国のトランプ大統領候補や、フィリッピンのドゥテルテ大統領が、

同じ発想である事に我ながらびっくりしました。特にドゥテルテ大統領がすでに「ビースト法」を現実化しているのは驚きです。



<メインキャスト>


達摩ジョー

 幼い頃に犯罪者であった父を射殺され、再婚した母と継父の虐待を受けて捨てられて孤児院で育つ。

 8才で孤児院を脱走して東京租界で盗みを働いていた所を、渡りのイェーガーである達摩玄に拾われる。

、玄と一緒に傭兵や武装警備員として海外の戦場や修羅場を転々とした経歴を持つ。母の愛を知らない孤独な男。

 あだ名は「ソルジャー」。シャルクはシベリアンハスキーの「ボルテ(牝)」。実は犬ではなく猟師に母を殺された狼。

 獲物は長尺のモーゼルC-96オートマチックと米軍仕様のM-16 アサルトライフル。


音羽沙羅

 音羽警備のオーナー。腕利きの刑事だった父は、ある事件の捜査中に突然ビーストに指定されて公安に射殺された。

 倉橋前社長の後を継いだのはビーストを殺す為でなく、犯罪者を更生させて自分が味わった悲劇を無くしたいから。

 シャルクはジャーマンシェパードの「セイバー(牡)」。獲物はブローニングM-1910オートマチック。

 現役だった頃は「紅スズメ蜂」と呼ばれた名うての美人イェーガーだった。父の死に不審を抱いている。


萱野シュン

 ナマで人を殺したくてイェーガーになった元ネットゲーマー。時代の闇が生んだPSYCHO-PASS=サイコパスの若者。

 命に対する人間的な感情がまったく欠如していて、人間=犯罪者をゲーム感覚で殺して楽しむ。

 あだ名は「ネトゲ」。シャルクは元戦場の傭兵犬だった凶暴なドーベルマンの「カイザー(牡)」

 獲物はデザートイーグル 44マグナムと旧ソ連製AK-47 カラシニコフ自動小銃。


夜行ツクモ

 7年前に妻と娘をテロリストに殺され、それが元で身を持ち崩して警察を辞めた元刑事のイェーガー。

 新米だった頃に沙羅の父に世話になり、その縁で音羽警備に再就職した。沙羅を娘の様に思っている。

 あだ名は「とっつあん」。シャルクは闘犬大会で優勝した土佐犬の「ムサシ(牡)」

 獲物はS&W M-38 リボルバー・ポリスアクション。律儀に刑事時代の拳銃を使っている。

 正義感の強い人情オヤジで、後輩である警視庁の吉野刑事との間に太いパイプを持っている。


菅原ヒジリ

 元は公安局情報部のエリート候補生だったが、内部機密をハッキングして罷免された後にイェーガーとなった。

 ひょうきんな関西人のわりに頭脳明晰の秀才。右大臣「菅原道真」の末裔でもある事からとてもプライドが高い。

 あだ名は「ハッカー」。シャルクは灰色熊殺しのアルゼンチンドーゴ「サムソン(牡)」

 獲物はワルサーP-38 オートマチックと、MP-5 サブマシンガン。狙撃の名手でもありL-96 スナイパーライフルも使う。


雨宮ウズメ

 娼婦だった頃に、客に暴行されていた仲間を救おうとして人を殺し、危うくビーストにされる所を沙羅に救われた。

 姐御肌のイェーガーで、命の恩人である沙羅に密かに恋心を寄せるビアンでもある。裏社会の事情を知り尽くしている。

 あだ名は「ウズメねぇさん」。シャルクはチベットで人民解放軍の小隊を屠ったチベタンマスチフの「ルージュ(牝)」

 獲物はベレッタM-81 オートマチック。色気のある年上美人でハニートラップを仕掛けた近接戦を得意とする。


ウィル

 東京租界でテロに巻き込まれていた所をジョーに救われた幼い赤毛の難民少女。

 ジョーと一緒に暮らす様になってからは彼によくなついている。ジョーは死んだウィルの父親によく似ているらしい。

 実は、偶然に出会ったかに見えるジョーとウィルの間には、深い因縁があった事が物語の中で次第に明かされてゆく。


藤原公安局長

 内閣官房長官を父に持ち、その父の後を継いで公安局長となったエリート中のエリート。

 メガネを掛けた鋭い目付きの男で、警察や警備会社を統括し、ネオ東京のみならず日本の治安をその手に握る。

 一族は関白太政大臣「藤原道長」の流れを汲み、藤原一族の『我が世の天下』を再び日本に齎す事を目論んでいる。

 藤原親子は政財界に広い人脈を持ち、出世や目的の為には手段を選ばない権力の権化の様な人物たちである。


安部公安次局長

 藤原公安局長の腹心で、大納言「安倍寛麻呂」の末裔。安部一族は藤原一族と縁戚関係にある。

 策略に長けた狡猾な人物で、一族の繁栄の為に藤原局長を補佐して日本を支配する事を狙っている。

 現内閣総理大臣とは関係ありません(笑) なお、阿部家と藤原家は共に天皇家の外戚にあたります。


蘇我神父

 物語の鍵を握る最重要人物。その血筋をさかのぼると「聖徳太子=蘇我家出身」にまでいき付く。

 神父が物語中でどんな役割を担うか?一切は謎に包まれています。ネタバレになるのでここでは明かしません。

 彼がなぜ刑務所に入れられた受刑者の福祉職務を放棄して姿を消したか?それが物語の核心に繋がります(謎笑)


「ビーストハンター」は、俗に言うハードボイルド小説や、バトルアクション小説として書くつもりはありません。

物語の登場人物にはそれぞれ過去があり、何らかの深い心の闇があります。そして、それが物語の中で繋がっていきます。

物語の登場人物それぞれの因果関係が絡み合って行き着く果てに、アッ!と驚く様なとんでもない結末が待っています。

自分は文は下手ですが、物語作りだけはスタッフとして在籍した円谷プロで教わったので、そこだけは自信があります。

小説の中に鍵になるパズルのピースが散りばめてあります。何気ない台詞や些細な話を見逃さない様にご注意下さい。


ビーストハンター 第1話 「狩猟免許と言う名の殺人許可証」は、2016年10月1日 公開予定です。

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