鶴の恩返し想区―スノーホワイト編―

悠木遥人

プロローグ

 

 むかしむかしあるところに、子宝に恵まれない老夫婦がいました。


 そんなある日、身も凍てつくような冬の雪の日にお爺さんは薪を売りに町へ行ったのです。


 その道中、悲しそうに悲鳴を上げながら罠にかかっている一羽の鶴がいるではありませんか。


 悲痛な姿にかわいそうだと感じたお爺さんは、鶴を罠から逃がしてやります。


 罠から逃れた純白の鶴は、何も言わずにそのまま真っ白な空に羽ばたいていきました。


 その鶴の美しい背中を、お爺さんは見えなくなるまで見つめていたのです。


 そして……。








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