アンドロイド・イクスプェンツァー

満月ノヨル

第0話 プロローグ ー上空から彼はー

 風を切る音と共に、上空から彼は高速で降下していく。

 このスピードではいくら新型のジェットスプリング・ホバーボード――空を駆け回ることができるボード――でも、磁力を最大にしても地面に激突してしまうだろう。

 彼の追っている目標は「彼女」というべきか「アンドロイド」というべきか、人型をした機械人形である。そう、外見は人と全く変わらない容姿のアンドロイド。彼は無我夢中で追っていた。


――最悪だ。


 日高千隼ひだかちはやに恐怖心はなかった。こんなスピード出したことは無かったが、ホバーボードに慣れていたおかげで全く恐れてはいなかった。

 しかし、ホバーボードに関心があり慣れていたせいで、彼女に手が届いたとしても助からないことも承知していた。


――ほんと最悪だ。


 千隼はどうしてこんな展開になってしまったのかわからない。どうしてこんなアンドロイドのために命をかけて追っているのかもわからない。自分自身、自己嫌悪しながらも彼女を追う。

 左手に持っているコントローラーの人差し指に当たるボタンを押して、ホバーボードの後ろについているブースターを強め、さらに加速する。顔に風がまとわりついて、肌がもっていかれそうだ。

 右手を懸命に伸ばし、彼女の手に触れた。

 腕を掴んだ瞬間、ボートのバランスを崩してエアアウトしてしまい、空中に体が投げ出されてしまう。

 目が回る。

 体が色々な方向に回転しているのがわかる。しかし、両手に抱えた彼女を決して離しはしなかった。

 千隼は目を瞑りながら思い出す。


――ほんと最悪な一日だった。





ーーーーーーーーーーーーーーーー

プロローグのみの公開です。

本編は調整後に投稿します。


よろしくお願いします。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る