インフィニ・ライザー

やなちゃん@がんばるんば!

第1話「それは、自分を消すための旅」


何気ない日常がただぼんやりといつまでも続くのだと思っていた。

淡い色の毎日をくりかえして、俺が笑って、妹も笑って、特に変哲もない日常がただただ続くのだと思っていた。俺も妹もまだまだ死ぬ予定なんてなくて、ましてや、殺人鬼に狙われるいわれもない。

なのに、どうして、こうなった?

俺は大量に出血する身体をピクリとも動かせずに呻きながら思った。

こんなはずじゃない。こんな非日常は俺たちの世界にあってはならない。

銃弾の通った箇所は妙に熱くて、それから、ねっとしとして生臭い。そこの空気だけ赤いんじゃなかろうかと思うほどだ。

額に浮かぶ脂汗すらも振り払う余裕なんてなくて、俺はただ、捨てられた人形のようにうつぶせのまま血を流すしかなかった。それしかできなかった。大声で助けを呼ぶとか、携帯で救急車を呼ぶなんてできそうもなくて、混乱する頭の中で、俺は呻くことしかできなかった。

この出血じゃ死ぬな。

助けてくれ。誰か。

俺じゃなくて、妹を助けて…くれ…。

それだけが、死にゆく俺の願いだった。

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