第4話 語る

「…」

完全に紘介は黙り込んでしまった。

少しの間、止まってしまった。


しばらくして、紘介はやっと口を開いた。

「わかった、話す。話すから…」

そういうと、近くの公園のベンチに座った。

私も隣に座り、話を聞く態勢に入る。



最近、友達が俺から離れていくんだ。

理由はわからないけど、たまに俺が廊下を通ると、

「おい、紘介だぞ、目を合わせんなよ。」

とか言われるんだ。

俺は特に何も悪いことなんてしていないのになんでそんなことを言われるのかなって。

そう考えてたら、クラスメートみんなが俺のことを

「紘介ってうざい」「人間性ない」「いらない」「死ねばいいのに」

って笑ってる感じがしていたんだ。

みんなの笑い声が、俺に対することのように思えてしまって。

きつくなったんだ。

クラスにいることも、何から何までが嫌になって。

優奈に話していた出来事も、俺のことなんかじゃないんだ。

優奈とはクラスが違うから、クラスの出来事なんてわからないかなって思って。

そのうちストレスがたまってきて、

精神的に病んできて…

リスカをしてしまったんだ。

はじめはやめようと思ったのに、止められなくなった…

コントロールが、出来ないんだ。

人を愛せないんだ。

優奈さえも、俺を嫌っているんじゃないかって思ってしまったんだ。


そういって泣き出した紘介に

私は手をまわした。

それは慰め




ではない。

私の裏の本性が、今動きだした。

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