第16話 もちつき大会

『月光商店街』では、お正月恒例のもちつき大会が行われています。

 おもちに星雪を混ぜて、つくので、杵が振り落されるたびに、キロン♪ポロン♪と軽やかな音が響きます。

 アツアツおもちは、みんなでタシタシと軽く叩きながら冷ましてクルクルと丸めていきます。


 アツアツおもちがホクホクおもちに丸められたら、みんなで食べるのです。


 かつおぶしを振りかけたり、かまぼこをまぶしたりしながら…みんなが好きなように、『星雪もち』を食べます。


 チョビさんは焼き魚をほぐして混ぜて食べてます。

 クロさんは両手にかつおぶしをたっぷりと、くっ付けて交互に食べます。


「美味しい、美味しい」


『星の加工場』にも『星雪もち』が運ばれます。

 チョビさんとクロさんもお手伝いです。


「おう!ありがとよ!チッコイのと、黒いの」

 親方が2人に近づいてきます。

「しかし、黒いの…オメェ、ウチで働かねェか?いいガタイしてやがる」

「僕…探偵だから…」

 モグモグと口を動かしながらクロさんが親方に『星雪もち』を差し出します。

「チッコイのは…ハンマー持てそうにねぇから…いいや」

「なんだと!」

 チョビさんが親方に加工前の星を投げます。

 星は親方の頭にコチーンと当たってキローン♪と工場に軽い音が響きました。


「チッコイのは、口が悪ぃし…ケンカッ早いし…」

 とブツブツと頭を擦りながら親方が苦笑いしてます。

 親方は、なんとな~く、この2人を気に入っているのです。


「ようし…休憩終わり!、今日も星雪を降らせるぞ!今夜は大雪だ!」

 親方の掛け声で、『星の加工場』は大忙しです。

 クロさんのチョビさんも星運びを手伝います。


『月光商店街』に白く黄色い星雪がフワフワと降り注ぎます。

 もちつき大会は星雪が無くなるまで終わりません…。

 まだしばらく、続きそうです…。


 ほんのり甘い『星雪もち』を食べながら、加工場のみんなと空を眺める2人でした。

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