毒こども!~毒親からの脱出~
@midorimaru033
第1話 毒を食らわば皿まで
こんにちわ。私の名前はしろまる。32歳のメスです。
最近になってやっと「毒親」という単語が浸透してきて、ようやく表面化してきた実態があります。それが両親、家族による“精神的虐待”です。
「親が自分の子を愛さないわけがない」
という言葉を耳にするたび、「なんか変だな」とずっと違和感を抱えてきました。なぜなら、私は長年にわたり、両親から精神的虐待を受け続けていたにも関わらず、「親が子を愛さないわけがない」という呪いの言葉で蓋をされ、自分自身ですら、その虐待の事実に気がつかなかったからです。
このような人は大変多く、「理由のわからない苦しみ」にもがき苦しんでいるんだろうと思います。
ここでは、私が毒親にされてきたこと。そこから脱出するまでの過程を、エッセイ形式でぽつりぽつりと書いていきたいと思っています。
まず、タイトルにもあるように「毒を食らわば皿まで」。これは、私たち毒親の被害者…ここでは“毒こども”と呼びます…にとっては「覚悟を決める」ことを意味します。
今まで着ていたボロボロの洋服を脱いで、新しい洋服に袖を通さなければならないとき、一旦全裸になることになりますが、それは苦痛を伴うかもしれません。それは自分が虐待を受けていた、という事実を認めること、そして、そこから脱出することを心に決めることです。
今まで少しずつ盛られていた毒は、吐き出そうとしても出てきません。そう、まずは全部を、皿ごと飲み込んでしまう必要があります。
〇毒を皿ごと食った話
大人になれば、体も大きいし、もう虐待を受けることがない…と、思っていたのは私ばかりではないでしょう。
実際、私は体も大きいし、力も強いので誰にも負けない自信があります。でも、人から否定されると、心はひどく傷つきます。
うちの母親は、毒親。父親は無関心人間でした。母親は、私が成人してからもねちっこく毒を振りまいていました。
どのような毒か、と言えば、たとえば私が着ている服を「なにその服!変な色!」と否定したり、「あんたなんかいくらメイクしたって変わんないよ!なにそのメイク!気持ち悪い!」、ほかの人と比べて「ほかの子はあんなにかわいいのに、なんであんたはそうなの?」と言います。
まるで実の親の発言とは思い難いのですが、私にとってはそれが当たり前だったし、否定ばかりして肯定することのない母親の発言を、なぜか「正しいもの」と思い込んでいました。
そのため、私は自分自身に「どうして私はブスなんだろう」「ほかの子みたいになれないんだろう」と悩んでいました。いくら鏡を見ても、今現在も、自分の顔がどんな顔なのかよくわかりません。
母親は、困惑する私の表情を見て満足げにしていますが、そんな母親自身が人を評価できる立場なわけがないですし、私から見ても母親は美人ではありませんでした。後から思い返せば、若い自分の娘に対する嫉妬だったんだと思います。
さて、後になってから「あれは母親からのいじめだったんだ!」と気がついた私は、その後も何度も母親から否定の言葉を浴びせられました。
「あんたの行動はいつもおかしい」「歩き方が変」「食べ方が汚い」「腕が長いから服が似合わない」「ズボンの裾が短いなら足を切ればいい」
これらの言葉をまともに受け取って「なぜ母親はこんなことを、平気で言うのだろうか」と、やはり辛い気持ちになりました。
しかし、あるときやっと私は気がつきました。
これらの言葉に反応しなければいい。
反応しなければ、これらの攻撃は行き場を失って、彼女に戻っていく。
私は毒を皿まで食べたので、満腹になった様子を見せることにしました。
母親は、どんな言葉にも反応しない私に腹が立ったのでしょう。どんどん暴言はエスカレートしましたが、次第に「母親がひとりでわめいているだけ」になりました。
毒親の発言に苦しんでいる人は多いですが、それにいちいち反応を見せていては、相手に餌を与えるだけになります。犬に追いかけられたくなければ、逃げるのをやめなければならない。
現在は母親とほぼ縁を切った状態で、顔を合わせていないので暴言を浴びることはありませんが、「もうお腹いっぱいです!」という表現をして見せることで、毒の供給を止めることができるかもしれません。
つづく
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