随筆 夜更けに想う、日の光

かさかさたろう

第1話 じいちゃん

朝は眠いといつも思うが、太陽にたたき起こされるように毎朝起きねばと思う。

私は眠いのだ、好き勝手させてくれと思うが、心のどこかは違っていて、そんな自分に喝を入れる。

眠い、眠くない、眠い、眠くない。

そんなふうに思っている時、とりあえず、体を動かすのだ。下を向いて、よっこらしょと。

口にタバコを咥えてみると、自然にライターを持っている。

はて、いつ持ったのだろうかな。

そう思うほどに眠いのだ、眠いのだ。

火をつけようとライターに頼み込むがなかなか付かず、こりゃ失敬と思う。

彼だって眠いのだ、邪魔していけないな。

とりあえず、火は何とかつくもので、吸っては吐いてゆらゆらする。

タバコのお供に自販機に向かうと、いつも朝から散歩しているご近所さんのお爺さんにばったりあった。


「おはよう!きょうもいい天気だね!」


元気には返せないが、笑かける。大事なことだと思っている。

それにしても眠い。


そうこうすると、日も登り、世間も慌ただしく動き始めてしまう。私もまた今日のやるべき事、せねばならない。

とりあえず、下を向いて一歩を踏み出してみる。

そうすると、人間意外と動き出せるものだと思う。


日は中天を突き刺して、それからはやばやと降っていく。

夕焼けは浮かぶ雲に色を付けつつ、静かにしてどこか悲しく、しかして温かく、懐かしく私の心にも色をつけていく。

この辺から、やっと起き出してくる私の体は現代病なのだとおもう。

日もくれて、色んなものが終わりを告げて、真夜中にふと、天井を見つめる。

毎朝元気に挨拶をくれるおじいさん。あれは本当におじいさんかな。お爺さんにしては元気すぎる。しかして、若者かと思うと、それにしては立派すぎる。ああなりたいと思う反面、あそこまでは、と思うのだ。


人間誰しも程々が一番とかいう人もいるが、ふと疑問に思う。そういう人も、素晴らしい人を見た時、その人に熱中することがあるものだ。

程々と冷めている人の心の中を見て見たい。

ああ、こんな感じかと思うものだろうか。

受け入れられないものだろうか。

いや、今の私はそんなものだ。程々にと思っている。

こんな冷めた心のどこかで悲しんでいる僕がいた。

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