スットコとドッコイの冒険

ファッションロード

第1話そもそもの……

 スットコとドッコイは双子の兄弟。今日も仲良くケンカです。

「オレが先に言われたんだ!」

「オレのほうが先だ!」

 おやおや、二人は何を言い争っているのかな?


「オレがママに買い物をたのまれたんだ」

「オレが言われたの」

 それって二人でお使いに行って来いってことなんじゃないの?


「オレ一人でできるんだい!」

「オレだってスットコなんかいなくてもできるもの!」

 あらら、二人とも本当に怒り出しちゃった。


「こいつめ!」

「こいつめ!」

 ぽかりぽかり。

 殴られた頭が痛かったのか、殴ったゲンコツが痛かったのか、二人は目に涙をためて今にも泣きそう。

 そこにやってきたのが太っちょおじさん。


「何やってんだね、二人とも。ケンカはよくないぞ」


「だってスットコが、」

「だってドッコイが、」

 二人は一斉に太っちょおじさんに訴えます。


「そもそも、何でケンカしてるんだい?」おじさんの言うことはごもっとも。

 二人はお母さんから言われたことを思い出します。

「ママが、『こうふく』を買ってこいって言ったんだ」

「そうそう、『こうふく』」


 太っちょおじさんはびっくり。

「幸福だって?そりゃあちょっと買えないよ」


「どうして?」

「なんで?」


「だって売ってないんだもの」


「コンビニでも?」

「そうさ」 


「スーパーでも?」

「そうだよ」

 おじさんの言葉に双子は大弱り。だってお母さんの頼みごとですもの。

 スットコとドッコイは難しい顔をして腕組みします。それから、顔を見合わせてコクリとうなずきました。


「でも売っているはずだよ」

 二人はそれぞれお気に入りの肩掛けカバンにステキなバッジとあめ玉、そしてもちろんお母さんからもらったお金を入れます。


「おじさん!」「行ってきます!」


 スットコとドッコイは大きな声で元気よく外へ飛び出しました。もちろん右・左・右とクルマを確認してからね。


「やれやれ、行っちまった。 まあいいや、夕飯までには帰ってくるだろうよ」 

 太っちょおじさんはノンキにそう言いました。

  

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