グラウンド・ゼロ
雪上 火色
1 始まり
『昨晩、茜山高校の男子生徒、
今朝のニュースによって、茜山高校の生徒達の話題の中心は“白野大智”となった。
バスケ部のエース死亡事件、日常に加えられた一滴のスパイス。
学校は様々な憶測や噂が飛び交っていた。
しかもただの死亡事件ではない。今、全国で起きている死因不明の死亡事件かもしれないのだ。
被害者は全員“魂だけ抜かれたような”状態で死んでいる、これが事件の特徴だ。
巷では、あまりに謎多き事件のため「悪魔の食事説」「死神の不始末説」「政府の陰謀説」が囁かれている。
今、目の前にいる
友人・・・・・・
確かに菊一は飽きもせず毎日のように校内を駆け回り、持ち前のコミュニケーション能力で様々な人から情報、噂話を手に入れるのを日課としている。
その日課で手に入れた旬の話“犯人は日本侵略の準備を進める宇宙人説”は宇宙研究同好会会長から手に入れたらしい。
らしい、というのは宇宙研究同好会会長が誰なのか謎だからだ。
とにかく信憑性のない噂話を休み時間、お昼、放課後まで聞かされて真澄はうんざりしていた。
窓を見れば綺麗な赤色が見える。
「あ、そういえば、バスケ部のエース様はいじめられてたらしいぜ」
ふっと思い出したかのように菊一は宙に浮いていた話から地に着いた話を出した。
「いじめ?白野先輩が?あり得ない」
真澄の言う通り、あり得ない話であった。
白野大智という男は2年でも飛び抜けて目立っており、男の友人も多い印象がある。
「いや、俺もさぁ信じられん!って思ったけど・・・・・・夏休みに先輩が骨折したの覚えてるか?」
「あー確か、原付で事故に遭ったんだっけ」
夏休みの登校日で足を骨折し、松葉杖を使う白野の姿は学校中を驚かせた。
「それが、あの骨折は原付じゃなくて、バスケ部3年たちに階段から突き落とされたかららしい」
「・・・・・・3年の先輩たちのいじめを苦にして白野大智は自殺した?」
「いや、ど〜考えても自殺だったら直ぐに死因が特定されるだろ〜。不運にも謎の事件に巻き込まれただけなんだろうな」
「まぁ俺は興味ないけど」
スパッと真澄が言い切れば、菊一は演技がかったため息の後に「やれやれ」と肩を落とした。
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