第13話 地獄猫の来襲

 ヘルニアの持病持ちである


 来そうだなと言う前徴はある

 なんとなくモヤッと怠くて 妙に筋肉が凝った感じとか

 じんわりと熱を持った風なのとか

 ヤバイ感じがわかる


 だけど どうしても休めないんだな

 リアルで稼いでる以上 いろいろあんだよ


 オイラのとこは ある意味ブラックな会社で

 それなりにオイラは責任ある立場なわけで

 次々納期が迫る時なんか特に 休むと恐ろしい事態になる


 誰が代打を引き受けてもオッケーな職種だったらいいんだが

 専門性が要求される内容が多いから それだけは

 おいそれと他人に丸投げできない


 とか考えてて

 休めなくて

 根を詰めてしまって 

 反動のようにヘルニアが来る


 とりあえず我慢するだけ我慢してお仕事こなして

 休日と有給でゴロゴロして だましだましやってるが

 最近は足先の痺れがくるようになってきたから

 神経圧迫されてるんだろうな ヤバイ

 ヘルニア マジヤバイ


 そんなわけで

 昨日も 相当の激痛で死んでいたのだが

 普通に今朝から激務だった

 仕事が終わってないから

 明日も 本来は休みだけど 会社逝ってくる

 明後日も 残業手当なんか出ないのに

 終わらないから(以下略

 そして月曜は人手が足りないとかで

 朝から晩までみっちりスケジュール埋まってる


 そう

 人手が足りないんだよ

 そして仕事量が半端ないんだよ

 早いとこ転勤したいのに

 去年もオイラの転勤の手続きが土壇場でストップされたらしいゾ

 逃げたい

 

 「テメーなんざ必要じゃねえ」と断られたのか

 「この会社からコイツ消えると困る」とストップされたのかは不明


 だけどねぇ

 

 もしオイラが突然居なくなっても どうせ

 周囲がちょっとずつオイラの抜けた隙間を埋めて

 跡形もなくオイラの居た痕跡は消えるのよ

 親知らずを抜いた穴が いつの間にか肉が盛り上がって消えちゃうみたいに

 元からそこには何も無かったみたいに


 わかってるから

 頑張っても虚しいんだよなぁ


 オイラも あと何年生きるか分からんけど

 意外と自分の生きた証って

 残らんモンよ


 本当は 好きに生きたいなぁ


 そう思いつつ 毎日ヘルニアと闘いながら

 ヘトヘトになって働いておるよ


 気にしないで 存分に休みたい……

  

 ……っつか

 そういえば精密検査行かなならんのに

 休む暇がないぞ

 グダグダ言ってたら

 マジ死ぬから!

 休もう!


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