ユキミチ

……誰も

口にしなくなった並木道を

不自然な僕らと雪がまた

降りる

駅はそこ


……誰も

はしゃがれなくなったこの日を

笑う僕らと雪が

はばむ

電車が動き出す 切符は先まで買っていた


雪を雪と見違えて 積もり行く様を

夏を夏と見違えて 溶け行く様を

風を風と見違えて 白くなる様を


見つめていたら君がいつか見違えて消えた


……誰も誰も

時計が止まるのを

……誰も誰も

線路の上で見る

切符はこの先まで買っていた


黒を黒と見違えて 見上げた闇を

西を西と見違えて 落ちていった陽を

雪を雪と見違えて まばらに散る空を


見つめていたら君がいつか見違えて

発車の声


……誰も口にしなくなった並木道を

不自然な僕らと 不自然な僕らと


切符は2枚ある

ただ雪が

雪が

ああ


街を街と見違えて 白くなる様を

淵を淵と見違えて 白くなる様を

道を道を見違えて 白くなる様を

見つめていたら僕は

雪を雪と見違えて 遠い声に喜ぶ

雪を雪と見違えて さくさくと回る

雪を雪と見違えて 汗を滲ませて


見つめていたら君が今日も見違えて消えた

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る