第4話 かさ地蔵

「婆さん、言ってくるわ」

「はい、気を付けて」


 山奥の村、雪深い村。

 お爺さんは手編みの笠を5つ背負って、町へ売りに行きます。

 お正月のモチを買うつもりなのです。


 雪がボサボサと降る日、道中にお地蔵様が雪に埋もれている。

 お爺さんはお地蔵さんの雪を払い、その頭に売り物の笠をひとつづつ丁寧に被せていきましたが、お地蔵さんは6体あったのです。

 ひとつ足りない…お爺さんは自分の笠を被せて、そのまま家に帰りました。

「モチは買えなかったよ」

「あらあら…」

 お婆さんは、そんなお爺さんが大好きです。


 その夜。

 HEY!YO! HEY!YO! HeyHey!Ho! どこからか腹に響くRAPが聞こえてきます。

 RAPは家の周りを取り囲むように360°で臨場感あふれるサウンドを大音響で聞こえます。

 家を揺らす重低音Uo!Ha!


 お婆さんが窓の隙間から外を覗くと、茶褐色で蛍光ビキニ1枚のマッチョが踊り、歌っています。

 ひぃ…ふぅ…みぃ…全部で6人。

 イエロー・ピンク・グリーン・ブルー・レッド・パープルのビキニをブルンブルン揺らしながら。

 家をギシギシ揺らすマッチョのダンス…マッチョがポーズをとると、筋肉のミチッという音が響きます。


 深々と降る雪の夜…一晩中踊り明かしたマッチョは夜明けと共に遠ざかって行きます。

 遠くなるRAP

「HAPPY NEW YEAR!!」

 HAHAHAHAHAHAHAHA!!


 玄関をそっと開けると…そこには、山のようなプロテインが置いてありましたとさ。

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