第3話 鶴の恩返し

「あぁ…かわいそうに…」

 嫌われ者の村の爺さんが、狩人が仕掛けた罠に掛かった動物たちを次々と山へ帰していく。

「今日も良いことをしたわい、フハハハハハ」


 家に帰り、晩飯のときに婆さんに、その話を聞かせて2人で大笑い。


 密造酒を飲みながら、そろそろ寝ようかと思った頃、

 遠くから笑い声がする。

 …………hahahahahahaHAHAHAHAHAHAHAHAHAHA!!!!!

 笑い声はあっという間に近づいてきた。

 "Boom!"

 雪煙のと土間の砂ぼこりが部屋に立ち込める。

 壊された入口に立っていたのは、月明かりにオイルでヌラヌラと黒光りする白い歯の大男。

「昼間助けてもらった鶴デース、お礼にキマシタ」

「え~自分から鶴ってバラすの……マジで…そういう展開?」

 面食らうジジイとババア

「あの時はThank's! HAHAHAHAHAHAHA!」

「ホントに鶴か?鶴らしくねぇけど…」

「Me は『ホオジロカンムリヅル』で~す、HAHAHAHAHAHAHAHA立派なモヒカンが特徴の黒い鶴ダヨ」


「機織り機が奥にあるけど……」

 恐る恐る、婆さんが機織りを薦めると

 一折り目で、"Crunch!"

 ならばと薪割を頼むと…"Crash!" 土台ごと割る始末。

「もう…何もしないでおくれ…」

 泣いて謝る老夫婦。


「OK!OK!食事にするヨ」

 アホほどプロテインを麦飯にふりかけて食って、全力でトレーニング。

 動くたびに木造平屋が軋んでいく……。

 HAHAHAHAHAHAHAHA!

 一晩中笑いつづけ、動き続け、破壊の限りを尽くしたそうな。


「いい運動になったヨ…帰るネ、アフリカにBye」

 瓦礫と化した木造平屋から、バサッと黒いカンムリヅルは大空に高笑いしながら飛び去ったそうな。

 HAHAHAHAHAHAHAHA!


 それ以来、爺さんは狩人の罠に手を出さなくなったそうじゃ。

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