魂のない悪魔の新たなる能力

レア

プロローグ

時は…四月一日の午前八時前。

秋野さやは準備をしている。

何の準備か……それは…

白林高校の入学式の準備である。

白林高校とは、

さやが通おうとしている女子高のことである。

そう、さやは今日から高校生になるのだ。

「は~。すっごく楽しみ~!」

と言いながら制服を着た自分を鏡で見ていると

下のほうから姉・秋野あやの声が聞こえてきた。

「さや~!浮かれてるのもいいが、入学式に遅れるぞ~!」

さやは時計を見た。

時刻は…八時だった。

「はーい!今行くよお姉ちゃん」

とさやは言った後、

急いで机の上に乗ってあるパンを食べた。

しばらくして

「…まだか?」

と、もう一度声が聞こえた。

もう一度時計を見てみると八時十分になっていた。

さやは急いで階段を降りてあやに言った。

「はいはい。お待たせお姉ちゃん。」

あやはため息をついた。

さやはニコニコと笑っていた。

二人は顔を会わせ頷いた。

声を会わせて二人は言った。

『行ってきま~す!』

玄関を開けると、太陽がとても眩しかった。

二人は無言のまま登校した。

しばらく歩いていると

「……や…さ…………や」

と声が聞こえた。

さやは後ろを振り返ってみた。

が、なにもいない。

あやは気付いていないみたいだ。

無言のまま歩いている。

気のせいだと思って少し歩くとまた聞こえてきた。

今度は…はっきりと。

「…や………さや!」

ビクッと、さやは体を震わせた。

あやはやはり…気付いていない…。

さやは言った。

「だ…誰…?」

すると、また声が聞こえてきた。

「あぁ。ようやく声が届きましたね。さや。」

さやは困惑している。

そしてさやはまた言った。

「あなた…誰…?」

そしたら、返事が返ってきた。

それも…予想外の…

「我は…死神…。名は……タナトス。」

「え…。しに…が…み…?」

さやは頭の中が?で一杯になった。

それもそのはず。

さやはそんなものが生きていると思っていないからだ。

しかしさやはこんなことを聞いていた。

「えぇ…と。死神様が、何の御用で?」

死神…タナトスはこう言った。

「タナトスでいいですよ。」

そう言われてタナトスと呼ぶことにした。

そしてもう一度聞いていた。

「じゃ、じゃあ、タナトスさんは私に何の御用で?」

タナトスはニコッと微笑んだ後、目を開いた。

さやは目を開いた時のタナトスの笑みが…悪魔の笑みにしか見えなかった…。

そして、こう言った。

「はい。突然ですが…驚かないでくださいね。」

さやは…ゴクリと唾を飲んだ。

次の刹那タナトスはとんでもないことを口走った。

「さやさん。あなたは…一週間後に死にます。」

そう言ってまた、微笑んだ。

さやには…意味がわからなかった。

だから、こう言った。

「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!

どういう意味ですか⁉」

しかしタナトスは、微笑んだまま

「そのままの意味です。」

と答えた。

さやは…絶句した…。

しかし、タナトスはそんなさやを気にもせずこう言った。

「それでは一週間。楽しく生きてくださいね。」

そしてそのまま影のように消えていった…。

さやは大声でこう言った。

「あっ!待って!」

あまりにも声が大きすぎたのか

あやが振り返ってさやを見て、こう言った。

「さや~?どうしたんだ?独り言なんて言って。もしかして、まだ寝惚けているのか?」

さやはその時、我に返ってこう言った。

「あ、何でもないよ。お姉ちゃん。」

しかしさやは【一週間後に死ぬ】という意味をずっと考えていた。

が、学校の近くまで来たので考えるのをやめた。

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