新夢十夜

赤松 帝

第一夜 私の知らないもう一人の私

こんな夢を見た。

私の知らない間に私が死んでいる。

自分自身死んだ覚えはないが、テレビで流されている在りし日の映像には思い当たりがある。

そうか、私が気付かないだけで、既に自分は死んでいたのだな。

なんとなくだがそう理解出来た。

そう思った途端、突然肩の力がふっと抜けた。

もう無理して頑張る必要はないのだ。

自然のまま朽ち果てるに任せるとしよう。

これまで感じたことのない開放感を味わっていたところ、誤報が報じられた。

生きていく苦痛は以前にも増した。

一体どうしてくれるのだ!

無性に腹が立ったところで夢から目が覚めた。

私は田圃に横たわっていた。

遠くで牛蛙の啼く声が聴こえていた。

そこでようやく私は悟った。

なんだやはり自分は死んでいたのだな。




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