ボカロP異能バトル
ナトリカシオ
Disk1-戦いの始まり
track 00-異能とエネミー
こんな理不尽、絶対に許せない。
俺はそう心の中で繰り返し高い天井を見上げた。
こうなったのも、何もかもあの時が始まりだった──
* * * * * *
『争いが起こった原因は不明ですが、警察は彼ら2人を「危険異能保持者」として確保隔離する事を決定、ただいまこちらに向けて異能対策部隊が出発した模様です!』
ラックの上に雑に設置されたテレビの中でリポーターがやかましく騒ぎ立てた。
何事かとテレビを見ると街のド真ん中でとんでもない光景が広がっていた。
道路や建物はメチャクチャに破壊され、辺りには瓦礫が散乱している、その十数メートル上空には2名の人間らしき何かが浮かんでいた。
「アレってネットで超有名だった小説家だろ?確か他の作家に盗作されて揉めて引退したっていう」
トイレから出てきた桐島がテレビを見て言う、トイレに持ち込むなと言っていた雑誌を手に持っているが今は突っ込まないでおこう。
「それより桐島、お前MVは出来たのか?」
「まぁ落ち着けよ後藤、てかさ、コイツらなんだってあんなやべえ異能を発現させちゃったんだ?」
桐島がコーヒーにスティックシュガーを3本ほど入れながらテレビを見て言った。
「さあな、でもクリエイター業やってる人たちって多いんでしょ、危険異能の発現」
「お、じゃあ俺たちも」
無いね、という言葉を飲み込んで溜息をつく、朝の日差しが差し込む中、俺は自分の才能の無さに1人落胆した。
人気動画投稿サイト「ニコニコ動画」
そこでも人気なのがあの初音ミクなどをイメージキャラクターとした音声合成ソフト「Vocaloid」を使用した楽曲群だ。
俺もそんなボーカロイド楽曲を投稿する「ボカロP」の1人なのだが、どうにも他の売れっ子ボカロPなんかと比べるとスズメの涙ほども売れていない、再生数なんて3桁まで行けば泣いて喜ぶレベルだ。
「で、天下の天才動画師様のタングアイランドさんはいつ動画が完成するの?」
「まだできてないでーす」
桐島がそうおどけてキッチンへと引っ込んで行った瞬間だった、ガシャンと音を立てて目の前のテーブルに2人の男が降り立った。
「君、ボカロPのバックフジさんだよね、こんにちは、僕の名前はじん、ボカロPやってるなら少しは聞いた事のある名前でしょ?」
「ナユタン星人だよ、よろしく」
超大御所と最近ランキングを騒がせてる謎の新星じゃないか、なぜこの組み合わせが俺の家に、しかも突然現れたんだ。
桐島がキッチンから戻って来る、2人を見て口をポカンと開けて固まった。
「け、警察!警察呼ばねえと!」
「えっ異能って警察でよかったんだっけ?」
この2人はおそらく異能を使ってここまで来たんだろう、しかし疑問がまだ残ってる、なぜ俺の家に来たんだろうか。
「君はバックフジさんのMVをよく担当しているタングアイランドさんだね?ちょっとこの人借りていくけど、いいかな?」
超有名ボカロPの名を名乗った男はそう言うとテーブルから飛び降り俺の肩に手を回した。
「行こうか、ナユタンくん」
フッと目の前が一瞬歪み、俺の目に映る景色は一変した。
──────────────────────────
じん(自然の敵P)
「カゲロウプロジェクト」で人気のボカロP
「目」にまつわる楽曲が多いがその異能は……?
異能
1-エネの電脳紀行:電気信号を辿る事ができる、回線の向こう側の位置を特定する事も可能
2-???
ナユタン星人
「アンドロメダアンドロメダ」でデビューを果たした宇宙人。
普段は地球人の身体を借りて生活している。
異能
1-ハウトゥワープ:対象人物の元へとワープする事ができる、他の人を連れてワープする事も可能。
2-???
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます