いばら姫
@uru3987
プロローグ
二つの国に挟まれた丘陵地帯に位置し
北側の海から入り込む川の流れが造り出す渓谷と小高い丘の連なる森の中に ザバブルクという城があった
人里離れた奥地 小山の頂きにあるその城では
待望の娘の誕生を大いに喜んだ
王女の誕生を祝うため 招待を受けた七人の仙女は順に
姫へ祝福の贈り物を授け
最後の一人が贈り物を授けようとしたその時
招待されなかったことに腹を立てた八番目の仙女が現れ
「姫が十五を迎えたあるひ日、糸車の錘が刺さり死ぬ」という呪いをかけてゆく
まだ贈り物を終えていなかった七番目の仙女は 呪いを消すことはできないが弱めることは出来ると「永遠の死」を「百年の眠り」へと変えた
呪いが弱まったとはいえ国王は娘の身を案じ国中の糸車を焼き払い愛する娘を守ろうとした
しかし 呪いの通り王女は十五歳を迎えたある日
城の最上階で糸車の錘が手に刺さり 深い眠りへと落ちてゆく
呪いは城中に波及した
城の中に居るものは犬猫にいたるまでの誰もが一人残らず眠り
城は茨の檻で包まれ外からの侵入を堅く阻み続けた
百年の眠りは 茨の要塞を抜けた一人の王子の口付けで目を覚ます
その後、人々は幸せに暮らす…はずでした
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