私と私と私と、あなたは誰ですか

たたら

第1話 入学1

「おはよう」

「こんにちは」

「さよなら」


「この挨拶で、人と人とは繋がりを見いだせるのです。挨拶をされた人も、した人も良い一日を過ごせるでしょう。挨拶って良いものです」


と、何度中学生のころにいったことか。表現は多少違えど、こんなことを何度も言った。

挨拶。手偏があるから手を使うのかと思えばそうでも無いのだから昔の人はどんな挨拶をしていたのだろうか。

そんなことはどうでも良い。この話には関係ない。


どうぞ私のことは何とでも呼んで貰って構わないし、過去の私はいろんな呼ばれ方をしていたので一つに統一することができない。しかし一応読者のあなたが分かるようには配慮いたしますので。


さて、戻りましょうか、中学生の話をしてましたね。そう言えば。

その頃の私は苗字なり下の名前なり、あだ名なり、いろんな呼ばれ方をしてました。主に呼ばれてたのが、苗字にさん付けなので、ここの仮の登場人物も、苗字にさん付けしておくことにします。

今の私は高校生の私から見た私を書いてますから、高校生的…になるかどうかわからない視点で当時の私を見てみようと思います。




俗に言う、待ちに待った入学式とやらが近づくよりももう少し前の、10月頃の話です。

はい、小学生ですね。

この頃から私が進学する先の中学校が地区内で1、2を争うほどの荒れた学校だという話を兼ねてから聞いていて、その学校に進学すると分かってしまっている子達は、皆怯えたり危機感を覚えたり。逆にそうでない子達は、皆安堵した表情で過ごすわけです。この頃から学校間の何かの違いがあったのかもしれませんね。そしてその頃から私は、仲が良かった、ふみか(仮)と別々の学校に行くことが分かっていましたからよく私も「ふみかさんと同じ所に行きたい」と言っていました。残念ながら地域ごとで行き先は勝手に決められるので無理な話ですが。

よく担任も「そういう所に行っても、全うな人間でありなさい、常識人でありなさい」とホームルームなどで言っておりました。そして、それに付け加えて担任は、「人が過去に死んだ」と言うのです。あいた口が塞がらぬ。

そうして、その頃から残忍な人間がごろごろいるであろう環境に行くことを分かっていて、心構えだけはしておりました。


1月。この頃でしょうか。進学説明会があったのは。進学先の校長は、自分の学校がいかに荒れているのかを自覚しているようで、でもそうでない生徒の存在も主張しつつ、親に説明しなさっていた。

確かに行ってみれば、合唱など声が小さくて何を行っているか分からないし、校舎内も後ろ側の黒板が落書きだ(ら)けである辺り、酷さは薄々気付いておりました。書いてある内容など覚えては居ませんが。普通小学生が来るとなれば多少なりともきれいにはするはずです。

ジャージには穴が空いていて、ズボンは下がっていて、髪の毛は一部染まっていて、突然奇声が聞こえてくる。


余計不安だけが増していきました。

そうして私は思ったのです。この学校に入ってもまじめを貫こうと。その思い松のごとし。されど恐怖の方が大きいから、ただの自己防衛にしか過ぎない。仮面のごとし。


さてこの辺りにしておいて、次は入学の話にしましょうか。私も疲れてきました。


それでは。

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