【別冊】 源氏物語   ~俺はいつでも本気だぜ?~

桜井今日子

俺はいつでも本気だぜ?

 俺には母さんがいない。というか、3歳のときに亡くした。父さんや周りの女房(女中)から綺麗だった、素晴らしかったって聞くけれど、俺には母さんの記憶がない。


 そしていつ頃からか「光る君」と呼ばれるようになった。


 母さんを亡くして何年か後に父さんに新しいお妃が来た。っつうか、他にもいるけどな、お妃。まぁ、俺には関わりのない人たちだ。

 それで、このとき来たのが藤壺ふじつぼの宮さまだ。後に俺の憧れの人になる女性ひとだ。


 女房が言うには藤壺の宮さまは母さんに似ているらしい。

 綺麗で優しい女性ひとだ。

 俺の周りは女房たち侍従(家来)ばかりで、身近に友達なんていなかったし、なんか特別な存在ではあったよな。


 そうした感情が恋だと気づくのはもう少しあとのことだった。

 気づいたときはもう直接宮さまには逢えなくなっていた。

 逢えないと思えば、より逢いたいと思うし、想いも募る。

 元服げんぷくして成人したから女の人と会えないという以外にも俺達には逢えない理由があった。

 そうだ、彼女は父さんの后。帝の后。

 当たり前だが、公然と好きだと言えるわけがない。


 親の決めた結婚もしたけど、やっぱり彼女と比べてしまう。

 彼女とうまくいかないのなら、せめて彼女のような女性に出会いたい。

 そんな風に思っていたのかもな。


 そうやっていろいろな女の子とつきあうようになった。

 気になる子のウワサを聞いたらさ、会ってみたいと思うだろ?

 んで、会ってみたらさ、どの子だって可愛らしいしさ。その子なりの魅力があるよな。


 よく遊び人だとか俺のこと言う奴がいるけど、俺はいつでも本気だぜ? 

 いつも目の前の女の子に100%の愛情を注ぐぜ? いや、120かもな? 

 100の愛情を切り分けて10とか20ずつ女の子に注いでるわけじゃねぇんだよ。わかるか? 


 俺が守ったことは2つある。

 血の繋がった母娘おやこのどっちにもは手を出さなかったこと。

 それから、たった1回の付き合いでもそのあとの面倒は見ること。ま、金もなくはなかったし? その後の付き合いは色恋がらみじゃなくても責任はとった。


 そうはいっても、じゃあ彼女たちを幸せにできたかというと、ちょっとそこは自信がなくなる。やっぱり泣かせてしまった女の子もいるしな。


 まぁ、いろいろあったよ。俺の人生。




 そんな俺の話が紫式部センセーの「源氏物語」だ。1000年経ってもまだ読まれてるとかスゴいんじゃね? そうは思わねぇ? 


 ただまぁ、昔のコトバだからな、読みづらいところもそりゃあるだろ? それを【超訳】とかいうやり方でわかりやすくするんだと。



 それが『【超訳】源氏物語 ~ いつのころだったかしら? ~』だ。

 で、今読んでいるのが、『【別冊】源氏物語 ~ 俺はいつだって本気だぜ? ~』になる。よかったらどっちも読んでやってくれ。まあ、作者の今日ちゃんも頑張ってるから覗いてやって? よろしくな。



 ◇ご紹介に預かってしまいました。作者でございます。

 いち源氏物語ファンにすぎないワタシでございますが、学術書ではない、親しみやすい源氏物語のご紹介の一助になればと思い、書き始めました。


 おわかりかと思いますが、源氏トークはワタシの妄想です。紫式部センセー、お許しください。怒らないで。物の怪もののけとかで呪わないで。


 それにしてもですよ。

 まぁ、光源氏といえば、たっくさんの女の人とつきあった遊び人で、源氏物語といえばドロドロの恋愛物語というイメージがありませんか? 

 どんな印象を抱くかは皆さまのご自由です。上記のイメージも間違っていないと思います。ワタシ自身もこういう作品を書き始めて、どんな印象を抱くのか、まだわかりません。それでも世界最古レベルの物語、自分の生まれた国ではあるけれど、1000年も前の異次元のような物語にとても興味があります。


 よかったら、軽いカンジでお読みになってください。参考文献などで意訳は参考にしていますが、解釈の違いもあるかとは思います。どうか広く優しく受け止めていただけると嬉しいです。


 さ、1000年前のイケメン男子の恋物語。

 今とは価値観も何もかもが違う恋物語。

 覗いてみてください。

 男性と女性とでも受ける印象は違うでしょうね。ホントにね。


 でも……、

 こんな超絶イケメンから好きだなんて言われたら、とろけちゃう? 

 2番目でも3番目でもいいわって思っちゃう? 

 一晩だけでもいいわって? 


 経験がないからわからないわ。


 妄想力がカギとなるかもしれません。

 どうかお楽しみください。


 桜井今日子



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