メタリック
アレックス
第1章 暴動と逃亡
第1話 暴動と行動
静かな夜
街に住む人々は、夕方から降り出した雨の音を聴きながら眠っていた。
とても平和な時だ。
この国では、昼夜問わず警備兵が銃を持ち、街を練り歩いている。
よくいえばパトロール
しかし実態は市民の監視
そのおかげで犯罪は減った。
だが、あからさまに減りすぎていた。
街には街頭がある。
当たり前の事だ。ただ、街頭の形がやけに歪だ。当然だ。
ここの該当には、「すべてに監視カメラが取り付けられている」
なぜ犯罪が少ないか。
それは、街を歩く警備兵の視界を逃れ、街頭のカメラに映らずには犯罪など犯せないからだ。
この国では犯罪を犯したものは二度と日の光を見ることは無い。
どんなに小さな犯罪でも、課せられる罰は二つ
一つが死刑であり、
もう一つは「人体改造」である
そう。あからさまに聞きなれない単語だ。
犯罪など起きる訳がない。
パン一つの為に命をかける馬鹿など存在しないからだ。
ここは、西暦が終わり、新たな時代が訪れた世界。人間が、宇宙を管理し、様々な金属、やエネルギーを自らの手に収めた時代。
この世界は、1人の独裁者により管理された。
街を歩く警備兵の視界に、当たり前の景色が映る。窓と星。そしてデブリだ。
人は当たり前のように宇宙に住んでいる。
ここは小型コロニー「リガロック」
ーそして朝を迎えた。
人々は目覚め、食事をとり、仕事を始める。
その中に、巨大な影が現れる。
人々は、そんな光景を、地面を見るように流していく。どうやら当たり前の光景らしい。
簡単に表すならばそれは巨大なロボットであった。
どうやら戦闘機らしく、四角い頭にゴーグル型のカメラ。ドワーフのような体型。マシンガンとハンマーを持っている。
小型コロニー内に3機配備されている大型機「グアラス」だ。薄い緑と灰色で塗装された機体の横に、昨日の夜から徘徊している警備兵がいた。日の光を浴びてよく見えるようになると、この姿の異常さがわかる。全身が金属の板に覆われている。
それなのに、異常にスリムだ。
生き物であるかどうかさえ怪しい。
それは、この世界でも議論が別れる。
「これら」は元々は人間だったものだ。
機械式のボディに、機械で管理された脳を持つ。既に感情は無い。
当然、こんなものになりたくはない。
だからこそ、犯罪が異常に少ないのである。
人体改造の行く末。
小型機「ガララス」
街は通勤ラッシュだ。当然、肩がぶつかる程度の事はよくある。
ある一人の青年が、中年の男性とぶつかってしまった。
「おい!痛てぇな!何してくれんだ!」
「すいません。人混みにはなれないもので」
「おーいケービさん!この坊主が殴ってきやがったぞ!」
「急に厄介事は困りますね」
「あ?まあいい、お前はこれで改造決定だ。世の中為に役立ちなカス。おっと、警備兵さん、こいつですよ」
あからさまな冤罪だ。当然、こんなものが成立するわけがないが、この世の中には、冤罪を起こし警備兵を増やすことで金をもらう職業が横行していた。
「冤罪屋さんか。まさかほんとにいるとはねぇ…」
警備兵が到着し、慣れた様子で青年を捉えようとする。
「細かいとは言わない。署までこい」
「悪いが警備兵さん。それは聞けねえな」
「抵抗するなら命はないぞ」
「抵抗しなくてもそこのジジイとお前に命はないぞ」
「ハッタリを言うな。さっさと手を挙げてそこに座れ!」
警備兵と青年の会話に、調子に乗った中年が茶々をいれる。
「ふん。若造め、浅い知識で捻り出した言葉も汎用人格の警備兵には届かんよ。さっさと座れ!」
青年は、諦めたかのような表情をみせ、コートを急に「脱ぎ捨てた」
「!?なんだぁ?」
「貴様、なにをしている!」
「雑魚はしらないでいいぜ」
コートを脱いだ身体は、警備兵と同様、機械の身体で出来ていた。
「緊急事態発生!コード21!想定外の事態!戦闘機だ!攻撃を開始する!」
「所詮量産型ボディ!すべてが遅い!」
「坊主、お前はいったい…」
その瞬間、冤罪を起こした男性の首が飛び、
警備兵の腹に熱された刀が突き刺さった
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