架空怪談
@hidekatsu-izuno
第1夜「でるぞー」
これは、私の兄が幼かった頃体験した話です。
当時、私はまだ生まれておらず、兄は父や母と共に小さなアパートで暮らしていました。
その頃は、母も仕事に出ていたので、兄はひとりで留守番していたそうです。
兄がお気に入りのウルトラマンのソフビ人形でひとり遊びをしていたところ、ピンポーンと呼び鈴が鳴りました。
誰か来たのかなと思い、玄関に走っていき大声で「どなたですかー」と呼びかけます。
するとドアの向こうから
「でるぞー」
という男の声が返ってきました。
でるぞー、ってどういう意味だろう。何を言いたいのかよくわからなかった兄は、もう一度「どなたですかー」と玄関のドアにむかって呼びかけました。
しかし、また「でるぞー」という言葉だけが返ってきました。
何がなんだかよくわからず混乱していたそうですが、大事な用かもしてないので「何がでるんですかー」と聞いたそうです。すると、
「夢にでるぞー」
と言う声。さすがに怖くなって、居間に走っていき、敷いたままになっていた布団に潜り込みました。
はじめのうちは、ぶるぶる震えていたのですが、次第に体温で温まっていく布団に心地よくなり、いつの間にか眠ってしまっていたそうです。
「でたぞー」
突然声がしたので目を開けると、緑色をした男の顔が暗闇からあらわれ、ぬっと近づいてきたのです。
うわぁ、とすぐに布団から飛び出しました。
後から冷静になって考えると、最初から夢の中の出来事だったのではと思ったそうですが、遊んでいたソフビ人形がそのままになっていたため、どこまでが夢だったのかいまだに納得がいかないそうです。
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