霜降

足元の影が長く長く伸びる。カサコソと枯葉まみれの足音が響いて耳の奥に谺響こだまする。いつの間にか喧しかった虫の声は消され、夕をすぅと吸い込むと風呂を焚く薪の薫りが鼻腔を通り胸にしがみつく。不意にそれをギギギと引っ掻き剥がすかのような百舌鳥の声。振り返る。そして見つめ直す。立ち止まる宙。東からとうとうオリオン座の影。

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