第267話 キョウサク村の謎生命体 その1




「ただいま」





ノミンはキョウサク村の実家に久々に帰る。

病弱な母がノミンを迎える。



「あーノミン、おかえりー・・・ごほごほ・・・ほらーお茶だよ」

「ありがとう、あとコレ薬」



いつも悪いねぇとノミンの母は目を細める。

何となく照れ臭い。



「ところで、俺、『魔法協会』という組織に所属することになったから」



本当なら

『正教会』の魔獣討伐部隊に所属したかったが

何度も志願し、面接を受けたけれども・・・



「ノミン様・・・おお・・・迷える子羊よ・・・またのご縁があらんことを」



つまりは

『お祈り』されたということである。

野菜で戦うってだけで

偏見と差別の目がすごいんだが・・・うう



「あのシスターちゃんと 同じ組織に所属したかったんだねぇ・・・ふふ」



くっ・・・




だが、

魔法協会という組織からは熱烈に歓迎された。



ある盗賊団を追っていた際、

偶然、部隊とはち合う。



・・・



「まさか・・・グレンの豪炎を、さばききるなんて・・・」



「ッ・・・アクアローナ! もう一度 もう一度チャンスをくれ」



「あーグレン、それはあとでね」



青髪の美しい女性、

これがあの救国の英雄アクアローナ様か




女性は、くるりとひるがえって、手を広げる。



「・・・ノミン=ファーマさん・・・・・・採用です!」





「は?」





野菜で戦うなんて、一瞬耳を疑うような所業だけども



だからこそ、素晴らしい




私の心に『ガツンと』響きましたよ




(アクアローナ様・・・またですか? また 変な人物 仲間にしてぇ)


メルビアは涙目の目を伏せた。






$$$






「ともあれ、すごいことじゃない?ノミン」



給料も今までとは段違いだし


壊滅しかけた村のためにお金まで貸してくれた。

感謝してもし足りない。



だが、借りは必ず返さなければならない



それこそが、この村の誇り




「?」




「母さん、俺は思いついたんだが」




キョウサク村のカボチャを盾や防具にして売り出して、稼ぐことはできないだろうか?




キョウサク村のカボチャは刃を通さない

だからこそ強固な防具となり得るが、

それはそもそも加工ができないことを意味する。


ただし、例外がある。


収穫時期の満月の日のみ若干軟らかくなる。

加工は収穫後24時間が勝負であり、それ以降は元の硬度に戻る。


ちなみに今使っている兜もその研究時に作製した。



だが、これには欠点がある。



売り物になるまで『数』を生産するには圧倒的に人手が足りない。

村中の人を集めても数点が限界




「ならー、カボチアンさんの力を借りればいいんじゃない?」


・・・カボチアン?何それ?



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る