第257話【行商人編】ウ・マインダ―を狩る者 前編




行商団にいた頃の飯はすごく不味かった。





特に移動中の保存食は人間の食べ物とは思えない不味さであった。

栄養は豊富であるらしいが、

石砂を食べているという感覚に近い。



文句をいさめる立場のカルロも

最近の保存食続きについに音を上げる。




「うわああ、不味い」




ウツロは

「今更、何を言っているんだ」という目でカルロを見る。



「ウツロ、ここ西の国の飯は不味いけどね!ちゃんと美味しいモノだってあるんだよ」



カルロの話

ごく稀に出回る食材に美味しい物があるのだとか。




「特に・・・『ウ・マインダー』は最高だった」




「?」


山岳地帯に住んでいる小ぶりな蜥蜴とかげでね。

そのお肉っていったら

とろとろとコリコリしてる部分もあって食感に風味の良い匂い

そして、溢れ出る肉汁


・・・ああ、今思い出してもよだれが





「あれのことか?」




山岳地帯を移動中出くわすそれ、

目線を送るだけで、さっと逃げてしまう。




こっちを興味本位で見に来るけど

目線を送っただけで、警戒して逃げられちゃう。


罠を仕掛けて見ても看破されるし

弓なんかもうまくかわすし




まぁ




捕まえるのも至難の業だから、幻の食材なんだよ

あー遭遇機会も多いだけに余計に余計に食べたくなるー



・・・



もしかして



ウツロの練習してる奴

あれ使えるんじゃない?



え、




「あのマホウ?でさ、ささっと捕まえてきてよ」



「え、無理なんじゃ」

弓ですら避けられるのに




あきらめ調子のウツロにカルロは怒る。




「何のための魔法だよ!」




・・・少なくとも、蜥蜴狩るためじゃない




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