第205話【行商人編】いざファシルドール その2





【前回までのあらすじ】

ファシルドールには娼館があるので、ウツロはこっそりと金策に励む。






早朝、

ひりつく朝の寒さ、綺麗な朝焼け

地平線まで見渡すことのできる荒野、

遠くに見える大きな雲・・・



世界は広い。

この広い世界を旅すれば、色々な事もあるだろう。

女の人とその・・・そういうことになったりすることもあるかもしれない。



だが、それは不確定な未来だ、だから、そう・・・





うおおおお!!!


カルロ「おお、ウツロ、すごいな、あの数のゴブリンを撃退するなんて」

(・・・それにしても、どうして こんなに 鬼気迫る顔 しているのか?)


ウツロ(お小遣い、お小遣い)





うおおおお!!!


荷運びも精一杯きびきびとキリキリと動いて働いた。


「おお、ウツロ、お疲れさん」


ウツロ(お小遣い、お小遣い)




ファルシドールまであと3日、

木陰でこっそりと、ウツロは財布の中身を確かめる。




ウツロ「・・・」



・・・

・・・・

・・・・・


全然、足りねぇ(絶望顔)




トウカゲ「どうしたの、ウツロちゃん?・・・そんな人生が終わったような顔して」

木陰からひょいとトウカゲちゃんが現れる。




「ん?お金が欲しいの?」

ウツロは言葉に詰まる。

嫌な汗が止まらない。トウカゲちゃんの純粋無垢な笑顔が眩しい。




「しょうがないなぁ、ちょっと工面してあげるよ。・・・ふふ・・・なんたってボクはお母さんだからねっ」



その『お母さんごっこ』はいつまで続けるのか

だが、これでお金が手に入る・・・

いや、これは流石に




トウカゲ「?」




「・・・・・・・・・・・いらない、大丈夫だ」




危なかった、危うく我欲に負けてしまうところだった。

年端もいかない少女からお金借りて、娼館行ったら

・・・人間として終わる気がする。




ウツロは短くため息をつく。





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