第71話【過去編】死神の王と滅びの始まり
嘘・・・だな・・・
ラグベール王国には王家にのみ伝承される古い言い伝えがあった。
【
100年前、ハンクという宮廷魔術師が、
ミレスを含めた優秀な魔法使い10名が王の座の隠し部屋に集められる。
全員感情制御の首飾りをつけられており、王の命じるままに行動する機械のようだった。
彼らは言われるままに魔法陣の術式を発動する。
パリ・・・パリ・・・・
空間がガラスの様に割れる。大きな大きな骸骨の魔導士がおぞましい叫び声をあげて這い出てくる。
下半身はなく・・・宙に浮かんでいる。
王「おお・・・おお・・・お初にお目にかかります。ラグール様・・・」
ラグール「・・・お前は・・・誰だ・・・」
背筋の・・・凍り付くような・・・声だった。
王「5代目ラグベール国王、リズパールと申します。あなた様の盟友、ハンク=ラグベールの子孫にございます・・・」
ラグール「・・・」
王「ラグール様・・・ハンクの血を引く私にも・・・その大いなる力をお貸しいただきたいのです・・・」
ラグールは恭しく跪く王を値踏みするように見る。
ラグール「嘘・・・だな・・・」
王「はい?」
ラグール「・・・わしは・・・血の匂いをかぎ分けることができる・・・お主からハンクの匂いを感じぬ・・・いや・・・この匂いは・・・くくく・・・わしが根絶やしにし損ねた以前の王家の血の匂いではないか・・・これは傑作だ。」
王の顔が青ざめていく・・
王「・・・・そんなまさか・・・」
ラグール「その証拠にお主の魔力臓器からは、塵芥の魔力も、何も感じぬ・・・それが・・・奴らの子孫であることの・・・何よりの証だ。」
王は滝のように汗をかく、自身の手の甲の『偽造した高い魔力数値』に爪を立てる。
ラグール「どこまでも・・・嘘にまみれた不快な一族だ。」
ラグールは王に接近する・・・
周りの魔法使いたちが王の危機を感じたが一瞬遅かった・・・
ラグール「・・・・・・滅びよ。」
ラグールは長い爪を王に突き立てる・・・王の体は灰になり・・・大気に溶けていった・・・
【ラグールの爪】
爪には魔術の毒が仕込んであり、触れるモノすべてを灰に変える。
ラグールは大きな体を震わせる・・・隠し部屋の天井が崩壊し、城全体が大きく振動する・・・
ラグール「・・・あの時・・・お主が『幼子は殺すな』と言わなければこうはならなかった・・・おお・・・ハンク・・・なぜだ・・・なぜ・・・お前ほどの選ばれた存在が下等な種族に滅ぼされなければならぬ・・・」
お主の代わりだ・・・わしがすべて根絶やしにしてやろう
ラグールの咆哮が城下に響き渡る・・・
灰色の瘴気が城下を覆いつくす・・・
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