第18話 曲がった剣の修繕を
ミラに曲げられた剣の話
【3日の有給中のウツロ】
1日目とにかく寝る。
2日目ダラダラする。
3日目ちょっと動いてもいいかな
鍛冶屋でも行くか・・・
ミラに曲げられた剣、治るか聞いてみよう。
もう鞘に絶対収まらない形になって、置いておくのも邪魔だし。
3週間前、
自分の剣を曲げられたことを北支部の面々に話した。
特にケーリーさんには怒られるんじゃないかと内心ビクビクしていたが、
あっさり代わりを準備してくれた。
ウツロ「・・・あの・・・怒らないんですか?」
ケーリ―「安い支給品の剣の1本や2本必要経費です。構いません」
ウツロ(安かったのか・・・初めて聞いたぞ)
ケーリ―「装備、備品費の予算はむしろ余っているぐらいですし、そんな剣を大切そうに長く使っているウツロさんもちょっとどうかと思ってました」
ウツロ(ええ・・・)
ケーリ―「すいません。少し言い過ぎでした」
絶対に治らないと思うが、
一応、修理に出すのが規則なので鍛冶屋に行っておいてくれとのこと
北支部のある街 ミストクラノス は高い山脈のふもとにある落ち着いた街だ。
街の中心街へ行けばなんでも揃うし、コンパクトにまとまっている分、首都リムガントより便利である気がする。
鍛冶屋の戸をたたく。
鍛冶屋の娘カザンカが、対応する。
カザンカ「ちょ・・・なんスかこのオブジェ、マジウケるんですけど」
大笑いするカザンカ
カザンカ「どんな事したら こんな芸術品が出来上がるんスか」
ウツロ「・・・ああ・・・後輩魔女の拳をガードした時に・・・こうなった・・・」
カザンカ「あははははは・・・その冗談ウケる。もう、いちいちボケないで下さいよ」
いや、真実だけどな
カザンカ「親父、見てくれをこの剣」
親父「・・・これは流石に治せませんぞ」
ウツロ「ええ・・まあ、修理に出すのが規則ですので」
親父「・・・逆にこの剣が修理できれば、もう修理できない剣はこの世にないことになりますな」
親父の鍛冶屋魂に火をつけてしまったようだった。変なスイッチ入ちゃったな・・・
鍛冶屋の親父は真剣に剣を熱して・・・ハンマーを意を決して振り下ろす。
ポキン
第一投で剣はあえなく折れてしまった。
御免なさいという目線を向けてくる鍛冶屋の親父とバカウケする娘。
カザンカ「あははははは・・・ウケる・・・マジウケる・・・」
ウツロ(・・・うん・・・時間の無駄だったな)
折れた剣を念写して備品破損報告の資料にすることにした。
横にカザンカさんが笑顔でピースして映り込んでいた。
$$$
カザンカ「ウツロさん、たまには剣を買って下さいよ」
鍛冶屋の試供品に手をとる。
いい剣だな・・・
魔法協会剣士にとっていい剣とは切れ味ではない。切れ味なんて何回か斬ったらすぐに落ちる。大切なのは剣の魔法伝導度である。
剣を媒介した魔法を使う際、魔法伝導度の低い安い剣の場合威力が落ちる。
魔力1の風切りで0.1分ぐらいは剣の摩擦抵抗で消費しているだろうか・・・
つまり10%のロスが出る。
0.5風切りで20%ロス、0.2風切りで50%ロス・・・くっ
ケーリ―は鍛冶屋の前でウツロを見かける・・・
ウツロは熱心に剣を見ているようだった。
「ミラのこと・・・有り難うございました」
って言いたいが、私はウツロさんと談笑するほどの仲でないので言いづらい。
ウツロさんは討伐業務自体は真面目にされていますから・・・剣くらい経費で買っても怒りませんよ?
でも、甘やかすと癖になるから言うのは止そう。
夕刻、酒場にて
同僚「沈んでんな・・・ミラちゃんがいなくなって寂しいのか?」
ウツロ「いや・・・それはない」
同僚「いやー改めてあの子は美人で可愛かったな、何より素晴らしく『豊満で』スタイル良かったよな」
ウツロ「・・・」
同僚「お前、最後の方はミラちゃんの方がお前にべったりだったが、どうだったよ?その辺」
ウツロ「ばっ・・・俺は仕事は仕事として、私情を挟まずにミラに接して・・・だな」
徐々に声の小さくなるウツロ
ウツロ「正直・・・すごかった・・・」
同僚「あはははは・・・ケーリ―ちゃんに今の話、言ってやろ、言ってやろ」
ウツロ「やめろよ」
最低の好感度がさらに下がるだろうがよ
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます