悲劇の双子と新撰組物語。

幽谷澪埼〔Yukoku Reiki〕

第壱刀〜始まりの光〜

昔々新撰組と言う組織がありました。

新撰組には強い猛者が沢山居り、其の中に『鬼子、忌み子』と呼ばれ人々から忌み嫌われる双子が居りました。

誰もが双子を見掛けては石を投げ、声を荒げて罵倒し、忌み嫌いました。中には殺そうと息巻く者迄居りました。

双子はそんな人々の扱いに反論も文句も言わず、静かに佇んでおりました。まるで……静かに自らの死を望んでいるかの様でした。

そんな扱いを受け続けた双子にある転機が訪れました。

其れはーー新撰組隊士の募集でした。

双子は初め、受け入れてもらえないだろうと思いましたが、如何しても頭から《新撰組隊士募集》と言う言葉が離れないので、一か八か試してみる事にしたのでした。……受け入れてもらえないのならば、諦めて今までと同じ様に生きる事にして、新撰組の門戸を二人で叩いてみたのでした。

結果は双子の想像と全く異なるモノでした。

なんと受け入れてもらえたのです、二人共。忌々しい存在である、双子にも関わらず。

双子はその事実を聴き、二人で無表情に顔を見合わせ何時もは見開く事のあまりない眼を見開いて、頭を下げました。

こうして双子は自分達を受け入れてくれる、場所に出会えたのでした。

……お終い。

ーー此れは『忌み子』の双子と、新撰組隊士による、新撰組絵巻である。双子は隊士達と触れ合い、何も学び、何を身の糧にするのか。とくと御覧あれ……

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