恋物語

「え?次は私?」

暖炉を囲んで談笑していた。長年会っていなかった旧友もいたけど、美味しいお酒があれば会っていなかった時間なんてすぐに埋まる。

ブランケットを羽織り、両膝を抱えるように座っていた私に話が振られた。新しい会話のテーマは『今まで誰にも言っていない話』。

いい感じでお酒も回ってきたし少し口も軽くなる。それじゃあみんなをビックリさせる話を。

「私、人間と暮らしてた事があるんだ」

「え?」

「マジで?」

でもこれを話すには恥ずかしい過去を話す度胸と、悲しい思い出を話す勇気がいる。

「その前にワイン、赤ワインちょうだい。もうちょっとお酒が必要みたい」

これから話すのは、吸血鬼の私が初めて愛した人間との恋物語。

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