Red Cigarette


学校の屋上に行くとある女性が煙草を吸っていた。たぶんこの学校の先生だろうが見覚えはない。今年からこの学校に赴任してきた先生だろうか。

きっと美人と呼ばれる類だろうが、それ以上に疲れが顔に出ていた。


その女性が吐き出す煙が夕焼けでオレンジに染まる。再び咥えた煙草。口紅の赤がどこか印象的だった。


思わず見入ってると「吸ってみるかい?少年」と言った。

どうやら唇よりも煙草を見ていたのだと思ったらしい。


別に煙草に興味はない。家で親父も吸っているが、自分も吸いたいと思ったことはない。


でも煙草についた口紅には思いを惹かれた。僕は一歩を踏み出す。しかし彼女は煙草を再び自分の口に戻した。


「まだ君には早いよ。色々とね」

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