スペースタイムキャベツ

はろげん

序章 決断 2358年1月25日

「ど、どうしたらいいんでしょう?」

暗い操縦室の中、ぼくは絶望的な空気残量を指し示す針を眺めていた。


今、宇宙防衛戦士団 調査部のぼくが乗っているのは最新式の時空軸操作宇宙戦闘機。略称は時空機。

この戦闘機は2315年に、宇宙防衛戦士団によって発明された。

その戦闘機を手にした人類は太陽系の星をすべて自分たちのものにし、今は銀河系の4分の1を征服している。

それを可能にし、他の宇宙戦闘機にはできず、この戦闘機ができること・・・

それは・・・「テレポート」と「タイムトラベル」の二つ。


「テレポート」は割と簡単な仕組みで、設定された座標の空間とこの戦闘機の位置が交換されるというものである。その交換をどうやってやってるかは、開発部の企業秘密らしい。

とても便利でそれにコストも比較的低いが、危険なことももちろんある。

(例えば、テレポート先の座標を恒星の中なんかにしてしまったら跡形もなく中の人間ごと蒸発するし、人がたくさんいるところに間違えてテレポートしたりしたら・・・どうなるかわかりますよね?)

なので、テレポートするときは通信機でテレポート先の安全を確認してからでなければならない。

また、これに反した場合罰金を支払わねばならない。


次に「タイムトラベル」

これははっきり言うとやり方とかはぼくには理解できない。上官が言うには、不思議な力を使って時間軸とかいうのを移動するらしい。

その不思議な力がなんなのかは、上官もわかっていない感じだった。

また、このタイムトラベルはテレポートと比べ物にならないほどコストが高く、危険が多い。

まず、一回にかかる費用が尋常ではない。一つの小惑星を購入できるほどらしい。

それに、危険すぎる。過去にいけば確実に未来が少しでも変わり、未来にいけばその未来で何が起きるか分からない。

そんな危険な「タイムトラベル」なので、使用が許されるのは相当上位の者、または特別な許可が下りた者だけである。


ぼくは今テレポートの許可もとっていなけば、もちろんタイムトラベルもしてはいけない。

そして、今テレポートかタイムトラベルをしなければ生きて帰れるか分からない。

そんな絶望的な状況の中、ぼくはある決断をする。






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