12月17日
勿忘草に水をやった。今日も外は凍てつくように寒くて、辺りには
だけど近藤先生の言った通り、この寒さでも苗はピンピンしていて、害虫が出ないからかむしろいつもより元気そうだった。
喜んで庭を駆けまわる犬みたいって思ったら、そのシュールさと可愛らしさに、思わず吹き出した。
食堂から帰って、換気のために開けていた窓を閉めた。
部屋が温まる間はヒーターをつけて、厚着して、ベッドの中でぬくぬく。近藤先生に言われた通り、ちゃんと身体を温めておく。冬は特にね。
枕元にあった携帯電話を、何気なく久しぶりに開いたら、着信履歴と未読メッセージがかなりたまっていた。
わたしはあまり携帯をいじったりしないから、メルマガもほとんど購読していない。それなのにこの量は一体……どうしてかなと不思議に思ったら、全部大学のお友達からだった。
わたしがここ何ヶ月も大学に行ってないから、不審に思ったみたい。
しかも今の今まで携帯見てなくて全然返信してなかったから、なおさら心配かけちゃってるかも……。
今更かなって思いつつ、わたしは連絡をくれたお友達みんなに、一斉送信でメッセージを送ることにした。
わたしは元気だと。
でもちょっとだけ事情があって、大学に行くことができないのだと。
最後に……めちゃくちゃスクロールした一番下に、一言書き加えて、送信ボタンを押した。
本当は、大学は夏休み前に辞めていた。
ここに引っ越してきた時点で、もう今までみたいに大学へ行くことはできなかったから。そもそも春ごろから、休みがちだったしね。
お友達には、誰にも一切教えていない。この場所のことも、九月に引っ越してきたということも。
だからみんなも、いつも通り連絡してきてくれたのかもしれない。
けどいずれは、知ることになるんだろうな。
でも絶対に心配かけたくないし、わたしのせいで変に悲しませたりしたくないから、わたしがこの件に関して口を割るつもりはない。今の時点で、すでに結構心配させてるような気もするんだけど。
メッセージを送ったあと、ずいぶん迷ったけど、お友達みんなの連絡先を消して、着信拒否設定をした。胸が痛いけど、でもこれくらいしないと、ダメな気がして。
わたしがいなくなっても、きっとみんなはみんなで他のお友達同士で仲良くしていくんだ。それでいいと思いながらも、みんなの中からわたしが消えていくのが、忘れられるのが怖いって気持ちの方が大きかった。
自分が置かれている今の状況を、思わず呪ってしまう。
布団にもぐりこんで、ちょっとだけ泣いた。
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