10月24日

 毎日日記を書く必要性がないことに、今更気づいた。ってかもともと最初から、毎日書いてなかったけどさ……。

 なんだかんだで、気付いたら二週間近く経ってたよ。

 そもそも、毎日動きまわれるほど体力があるわけじゃないからなぁ。

 だから別に、日々それなりに楽しいとはいえ何かしら変化があるわけでもないし……っていうかこれ、勿忘草観察日記じゃなかったの? 振り返ったら、ほとんど関係ないことばっか書いてる。

 普通観察日記って言ったら、写真だったり絵を添付して、下に思ったことを書いたり……小学校の時やったな、そういえば。懐かしい。

 あの頃はおばあさんがまだ元気で、よく手伝ってもらってた。アサガオの観察とか、学校で育てた野菜の苗とか。そうそう、クラスのみんなで、お米を育てたこともあったんだよね。

 あれは結局、アフリカの何とかって国に送ったんだった。

 自分で食べたかどうかは、どうだったかな……覚えてない。でも、地球のどこかで誰かが、わたしの育てたお米を食べて元気になってくれたはずだから、それでいいんだ。


 何かますます関係ないこと書いてるな。わたしの悪いクセだよ。すぐに、本題から話がそれてっちゃうの。

 ……まぁ、いっか。


 ちゃんと水は、毎日やってます。

 結花ってこう見えて、意外と真面目ちゃんなんだよ?


 お母さんが来てくれたり、近藤先生が来てくれたり、食堂でたまきさんや生田くんたちとお話したり。最近もずっと、こんな感じで過ごしてる。

 最初は緊張しきりだった生田くんも、だんだんこの場になじんできたみたいで、笑顔を見せてくれることも多くなった。

 童顔っぽい顔立ちだけど、実はわたしとあんまり変わらない年齢なんだね。改めてちゃんと聞いてみて、びっくりしちゃった。

 ここってあんまり、わたしと年の近い人がいないんだ。別に気にしてなかったけどね……入った時から、分かってたことだし。

 年の近い人がいたらいたで、心配だし。

 でも、生田くんはたまきさんの弟子としてここにいるんだし、わたしとは別なんだよね。ちょっと安心。


 もちろん、勿忘草を眺めることも忘れない。

 害虫チェックは基本的に自分でやってるけど、代わりにお母さんや近藤先生がやってくれることもある。ずっと目をこらして、ちみちみと作業していると、やっぱり身体に障るから。

 言われた通り定期的に換気してるし、プランターも風通しのいいところに置いてるから、あんまり害虫みたいなのは見ないんだけどね。

 変化がないように見えるけど、確実にすくすく育ってくれてるのが分かる。さすがおばあさん自慢の土だ。

 十一月過ぎたら、そろそろ植え替えの時期になってくるかな?

 近藤先生に相談したら、今はまだ早いって言われたから、もう少し待ってみることにする。

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