第一部③『そして僕は戦場へ赴く』

 第11章『すごく使えるが、政治的にまったく使えない僕の魔法』


 視察行軍襲撃事件は隣国の進攻と判明し交戦状態に陥った。

 国境付近で小競り合いが続いている。


 それはさて置き、今回の事件、あの場にいた誰もが状況を説明出来ない。エレーナですら理解不能だ、そればかりか事故調査委員として乗り込んだローディ校長ですら、隊列を組んだままおそらく一瞬にして絶命させられた敵兵を前にして報告書の作成に頭を悩ませた。

 後に著書の中で、『私は高位の魔法使いとしてその国中に奉られていたが、その私にさでえ魔法でも使ったのではないか?と思わせる出来事であった。』と記している


 ――――炭鉱があるんだから低酸素症とか分かるだろうよ、

 だが炭鉱なら分かるがここは荒野の真ん中、そこへ思考が結びつかなかったのであろう。


 結局の所、事故調査委員会はエリザベートの精霊を用いた高位の魔法攻撃により敵を壊滅としか報告できなかった。

 もちろんそばにいた僕にまで思考が及ばない、奴隷の身分でしかも低級精霊しか持たない者ゆえ原因の範囲外なのだ。


 エドガー侯爵は大変上機嫌、エリザベートの卒業を待ち将軍とし一軍を率いさせようとキャッキャウフフしている。

 エリザベートとしては先の功績を全て自分の物とできたのは良いが、質問を受けるたびに言葉に詰まる、質問を受け言葉に詰まるお嬢様に代わり


「今回の魔法攻撃は今後の作戦に大変有効であると認められますので機密扱いとなっております、よってここでお答えすることは出来ません」

 と助け舟を出す。

 初めは奴隷の分際で生意気だと罵られたが、エドガー侯爵の計らい……

 とは言ってもエリザベートの計らいと言った方が正確だろう、サー(士爵号)の称号を与えられ正式にエリザベートの従者となった。


 その後ローディとエドガー家で揉めたものの僕はエリザベート付きの従者として奴隷の身分を解放され、エドガー家へと赴任した。


 一時は果物と同じ値段まで落ちたこの僕が、サーの騎士号を持つ下級貴族に昇格!

 驚きの出世劇である、だがこの辺にしておかないと悪目立ちして良からぬ組織から目をつけられかねない。


 エリザベートは約束どおり自由に魔法研究をさせてくれたばかりか律儀にメイドを配し、数名のご婦人を紹介して下さったが、そういう時に限って大変不機嫌になった。


「あら、カズイチ士爵様、ご婦人方に囲まれて、随分鼻の下がお伸びのようですわねっ!」

「いててて!エリザベート様!なにをっ!」

 そして足を目一杯踏まれる。

 その後、ご婦人方は誰一人僕に近づく事はなくなってしまったのである。


 騎士号と言っても下級貴族、給与はエドガー家から頂いてはいるが、衣食住は敷地内で保証されており、あまりお金は必要ないのだ、以外と好待遇だ。


 強いてお金の使いどころといえば精力付けるためのサプリメント位だろう。

 難しく規模の大きい魔法ほど精力を吸われる。ルーにおいては


「クックック、最近そなたの精力は薬草臭くてかなわん、なんとかしておくがよぃ」

 などと、わざわざ夢枕にたって、お告げ風に苦情を言ってくる。


 ————誰のせいでこうなってると思うぅぅ!!


 あれ以降、時々エリザベートの精霊も僕の所に遊びにきて、内緒で力を貸してくれる。高位の風精霊なので大いに助かるのだが、契約上大丈夫なのか?との問いに、燃料は僕持ちなので、バレなければ大丈夫という事らしい、結構精霊との契約って大雑把なんだなと感心した。


 バレたらどうなるのか?と聞いた所、契約解除か契約続行かもめにもめまくり、契約解除後も色々悩まされるらしい、なんだろ?この不倫して離婚騒動みたいな事の顛末は……


 試しにポーとルーに聞いてみたが、低級過ぎて使いどころがなく、誰にも誘ってもらえないとの事だった。


 だが、僕を経て知識はついてきた、理屈も理解した、バカと言うより処理能力が低いだけで、こちらの命令は正確に実行する、間違った命令も正確に実行する所も奴ららしい。

 だがたとえ新しい精霊が来ても、ポー、ルーと同じ能力は発揮できないだろう。

 あれは魔法ではなく知識なのだから。


 それはさて置き大気を使う魔法はその後幾つか実戦レベルのものを成功させた、まさにエリザベート様々である


 魔法はまず型(精霊)を宣言する事から始まり、次に何を、どの様に、どれだけやらせるかを精霊語で精霊に伝える、本当にプログラム言語と酷似しており今までの経験がそのまま流用できる、またここで培った圧縮技術は日本に帰ることができたなら、そのままパソコンに流用できるだろう。


 ちなみに僕は風の精霊だけなので型を宣言する所は省略できる、そう言う細かい所がたくさん集まれば、詠唱時間の差となって現れるのだ。


 僕の使う風の精霊は大気を司る、その大気を分子として認識させれば様々な応用が効く。


 分子運動を制御すれば、アンチスペルはもちろん、熱、冷却思いのまま

 残念ながら分子結合をさせるには、高位の精霊が必要なようだ。

 そのうち分子を光速まで加速させ衝突させエネルギーを取り出す事もできるだろう。


 また断熱圧縮を使えば雨を振らせられるし物を熱する事もできるし、霧も発生させられる、目くらましになるので撤退戦には大いに役立つだろう、大気摩擦を発生させれば雷も落とせる、大気圧の差を付け隙間を作ればそこに雷を誘導し、思った場所に落とせる。気圧をゼロにすれば瞬間的に敵を破裂させられる、範囲さえ指定すれば敵の士官のみをピンポイントで狙撃できる。ほとんど気象兵器の役割はすべて網羅できると言うことに気がついた。


 効果距離は精霊のパワーに頼るので無限の距離はとは行かなかった、まぁ無限の距離に効果が及べば敵国の王様の心臓付近を気圧ゼロにして一気に戦争終結だ!当然要人の暗殺にだって使える、このあたり制限があって本当に良かった

 また大気中の水蒸気を冷却し水に戻し電気分解させて水素を手に入れる、これまた色々使えるだろう、アルゴンだってレーザーとしてして使える。


 あれ?アイディア次第じゃ風のエレメント最強じゃね?

 さらに、火や土など折伏できたら、不足分を補ったりと色々広がるな。



 だがこの知識がが知れ渡ったら、低レベル者でも致命的な魔法攻撃が可能で、犯罪やテロなどに流用されてしまうだろう、また秘密を探るか守るため、僕は各国家から誘拐もしくは暗殺の対象となる、自国もしくは誘拐した国では当然監禁状態で状況に応じてそのまま殺害も十分あり得るのだ。

 世界中の手配を掻い潜って一人で生きて行くのは難しすぎるし全ての人を信じられなくなる、そんな生活を余儀なくされるくらいなら、アホを演じて面白おかしく暮らした方が良いに決まってる。

 墓場まで持っていくしかない秘密とせねばならないと心に誓った。

 色々使えるくせに、政治的に使えない僕の魔法…………


 また兵隊として前線に出されても、僕の魔法は離れた所から原因をつかませない様に発動させないといけない、上の命令で動く、軍隊向きの攻撃方法ではないのだ、単独で自由行動を行えれば良いのだが、秘密にしている以上そんな理屈は通らない、通常の魔法さえも使えずに斬り殺されるのがオチだろう。


 手としては、時の精霊まで折伏しローディのような地位につくか、

 最終手段としては、僕が国王になり王家のみが受け継ぐ力の象徴のようなものにしないといけない、それこそファンタジーである!

 ま、僕が死んだ後はその技術がどのように使われるかなんて、正直そこまで責任は持てないのだが責任を持つとすれば、今すぐ死ぬか日本に返してくれる事だけだ。





 第12章『あっさり実戦配備、僕戦争に行きます』


 父上様、母上様、日本の空の下お元気で暮らしておいででしょうか?

 僕は、奴隷からやっと市民になったと思ったら戦争に行くことになってしまいました。どうかいつまでもお元気でお過ごしください。

 母上様、砂糖甘い卵焼きおいしゅうございました、大根が入ってるスキヤキ、おいしゅうございました、汁たっぷりの親子丼、おいしゅうございました。肉の入っていない肉じゃが、おいしゅうございました。お父さんは立派なひとになって下さい、カズイチは戦争に行きます。


 魔法学校をこれと言った青春ドラマもなく、貴族のバカ息子どもに虐げられ下から数えた方が早い成績で卒業した、就職先はエリザベートの従者で決定していたので、楽々人生とタカをくくっていたら、エドガー侯爵ホントに娘のエリザベートに一軍を率いさせてしまわれたのだ、6000名ほどの戦闘集団、僕のいた世界では“旅団”規模に相当する。だが流石エドガー侯爵!これを完全独立部隊とし、エリザベートの上官は存在しないことに収めてしまわれた。本来なら2個旅団をもって一個師団となる、同僚に旅団長、上官に師団長ができるはずだ……

 貴族恐るべし!


 僕の所属はエリザベート旅団、旅団長付馬のお世話係り的な雰囲気の所。階級は騎士、自衛隊で言うと3等陸曹辺りであろうか、下士官扱いと言うことだ。


 ――――馬の世話とかしたことないし……、他に適任者おるやろ?


 おかげで後方勤務、前線に出る事はない。

 エリザベートの周りは頭の良い参謀で固められ、様々な作戦の遂行に当たる。


 ――――旅団長は別にエリザベートでなくてよくね?


 ある日、西部方面隊に合流し越境作戦に従事する事になった、そう襲撃事件のあったあの場所である。

 貴族の娘が学校を出ていきなり旅団長となる、そりゃ~軍のあちこちから色眼鏡で見られる事になる訳だ、でもエドガー侯爵は大きなお家柄、だれも異を唱えられない、ならば前線送りにして赤っ恥かかせようと言う腹である。

 しかも越境作戦だよ?これ、攻撃力よりも防御力と兵站輸送能力が重要になる訳じゃないですか?

 貴族のご令嬢がこの伸びきる補給線をどうやって維持するのか、不安は付きまとう。。

 また、出世を目論む参謀たちが功を焦って軍議の席で先陣を賜るよう要求、あっさりと受け入れられた。本人たちは熱意が伝わったと大喜びで士気はMAXだ、参謀たちは優秀なんだけど、なにせみんな初陣。

 ちょっと考えれば分かるだろう?何でこの越境作戦で実績のない部隊が先陣を許されたか?

 全滅して来いって言われているようなモンだよ。

 出撃前夜まで士気を高め己を鼓舞するかのように酒宴が開かれる、もう好きにしてください。




 第13章『出撃前夜』


 慣れて来ると馬って奴は実に興味深い、意外とこの仕事向いてるかもしれない、馬舎でエリザベートの白馬を撫でながら馬に話しかける。

「いいかロシナンテ」←本当は違う名前らしい。

「何かあったら、真っ先にエリザベート様を乗せて逃げるんだ、必ずお守りしてほしい」


 何となく伝わったんだろうな、馬も軽くぶるるっ!と反応する。


「逃げてもらっては困る!」

 馬舎の入り口で声がした、エリザベートが青い月明かりに照らされて立っている、表情は読めないが不安なんだろう。明日から出撃する自分の乗馬を見に来たのだろうな。


「カズイチ、いつもご苦労」

「ははっ!姫様におかれましてはご機嫌うるわ…………」

「そういうのは良い、心にもない事を…………」

 言い切る前に被せられる


 エリザベートの元に仕えるようになって、一層よく話をする、主従というより本当にクラスメイトになれた数少ない人物の一人だ。


「不安なんですね?」

「バカを言うな不安など…………」


 そうです、前線指揮官たるもの部下に不安を漏らしてはならない、学校を出たばかりの女の子が旅団級の指揮官など…………日本で言えば女子大生が旅団長をやるようなものだ。


 不安があって当たりまえだ。

「エリザベート様、何があってもこの私がお守りしますよ」

「お前は怖くないのか?」

「エリザベート様の重責に比ぶれば私の恐れなど、風の前の塵にございます」

「バカな事を言う、お前の本心を申せ」


 キョロキョロと僕は他に人がいないのを確認して言った。


「あの時さ、別に足の甲にキスしなくても良かったんだろ?何てことさせてくれたんだよっ!」

「あははは、まさか本当にするとは思ってなかったぞ、この変態野郎めが」

「おかげでしばらく思い出すだけで死にたくたったわ!」

「あれに比べれば今回の出征なんか、屁でもないですよ!」

「頼もしいではないか!今回の出征が怖くないとは!それでは精々お前に矢面に立ってもらうぞ!」


 しかし、かすかに震えてるのが分かる。

「いいじゃないですかエリザベート様、戦争が怖くない人なんていません、良いんですココには貴女と私、そしてロシナンテしかいません」

「参謀たちはパーティーの真っ最中です誰にも聞こえませんよ」


「僕はあの日、あなたのものになると約束したのです、こんな奴隷を解放だけでなく騎士号まで与えて、暖かい部屋と食べ物と安定した暮らしと…………」


 危うく口が滑るのを止めた


「とにかく、僕はあなたに感謝しています!それは嘘ではありません」


 エリザベートの肩が小刻みに震える


「心配召されるな、あなたにとって大切な人が現れるその日まで僕がしっかりお守りしますよ」

 無言で俯向くエリザベートに僕は微笑んで語りかける。

「今が一番大変なんだよね、君は本当によく頑張っている」


 心のダムが決壊する音がした、エリザベートは子どものように声を上げて泣いた胸を貸してあげるくらいしかその時のぼくには出来なかったのだ。

 鼻水をたらし、クシャクシャの顔で、少女の顔で彼女は泣いた、


「うっ……うっ……ロシナンテじゃないもん!ジョゼフィーヌだもん!」(馬の正式名称)

「そりゃ、すみません」

 月は何処までも青く空は澄み渡っていた、明日からこの部隊の何人かは2度とこの地に戻ってこれぬ、そんな旅の始まりだった。




 第14章『旅団前へ!』


 次の朝、わが旅団長は良い顔をしていた。

 日本ではちょっと見る事のできない死地に向かい全ての責を両の方に背負い背筋を伸ばし前を見る。


 ————覚悟完了と言った所だな。


 僕は馬を引き、エリザベート様の御前に差し出す、颯爽とまたぎ僕には一別もくれず、凛々しい横顔で前を見る。


 ————そうだ、エリザベート、それでいい。


 エリザベートはさっと右手をあげ、静かに参謀に伝える

「旅団、前へ!」


 伝令が声を張り上げ復唱し方々へ伝わる

「旅団、前へぇぇ〜〜!」

「旅団、まぁえぇぇぇ〜〜〜!」

「りょぉ〜だん、前へへへへ〜〜!」

「ろだん、前へ!」

「旅団、まえ〜〜〜〜へ!」


 ————いま一人、噛んだ奴がいた!


 隊列を組みいよいよ出発だ、今夜は国境手前で陣をはり、明日越境し敵国深くへ進行する、先発隊は我ら第7遊撃旅団 通称エリザベート旅団その数6000


 軽騎兵、軽猟兵、重装歩兵、重騎士団、弓兵、魔導士連隊、工兵、後方支援部隊、司令部と言う編成だ、オーソドックスではあるが、僕からすれば魔導兵が多すぎるような気がする。火力は高いが、防御力はかなり低い、越境侵攻にもかかわらず全体の足は遅めの部隊編成だ、だれだ?こんな火力重視の編成にしたのは?


 いや!僕は僕のできる事をしっかりやろう!!

 荷馬車に良い匂いのするワラを満載して補給部隊の後ろの方からついて行く

 ロシナンテの餌運び係を!!!

 魔導士連隊にも入れてもらえませんでしたぁ!!!

 でも、それはエリザベートの精一杯の配慮だと知っていた、最前線で命を落とさぬようにと。





 第15章『越境』


 国境手前の要塞で一夜を明しいよいよ敵地へと足を踏み入れる。

 しばらくは見通しのよいなだらかな丘陵地帯が続く、今回は各村々を解放しつつある程度のエリアを確保したら、手ごろな都市に陣地を確保した後、後続の部隊と合流しそのまま駐留して占領となる。


 参謀たちの鼻息は荒く意気揚揚だ、旅団は軽騎兵の斥候が先行し、その後に偵察部隊そして主力部隊が続く、その中ほどに司令部があり、その後方に補給部隊、後方護衛部隊と続く。しばらくは紡錘陣形で進み3日程は会敵すらなかった。

 解放する村々の住人はヒト種ではない、ヒト種で構成される我が国は亜人種に対し差別的だ、彼らからすれば解放と言うより占領と言うところだ。エリザベートの名で住民に対する略奪、暴行は禁止され徹底して各隊に伝えられたが、それでも住民感情は決して良いとは言えない。


 エリザベートは状況を良く理解しているようで、物資の浪費を抑えるよう通達を出している。参謀の中には士気高揚のため酒保解放を求めているが、それは随行の商人と主計将校がしっかりと締めている、貴族様の構成した部隊にしては良い人材を配置してあると感心した。そこはエドガー侯爵の親心、娘にはバカ参謀や貴族のバカ息子達を配する事は決して無く、父親の娘を心配する気持ちが見てとれる。


 僕はエリザベートの従者から馬を引き取り、餌を与え手入れをし休息させる。その作業に終始していた、作戦が始まって一度も彼女とは会話していない、少し寂しい思いと、エリザベートに会いたい気持ちが湧きおこる、いけないいけない僕のような者が想いを寄せてはならない存在だ、元クラスメイトとして屈託なく話せる、その距離感だけで十分だと自分に言い聞かせた。


 桶に水を張り、飼葉を与えブラシで毛並みを整える

「よしよし、ロシナンテ今日も御苦労様、姫様は元気にやってるか?」

 エリザベートの乗馬に話しかけコミュニケーションを欠かさない。


「だからジョセフィーヌだ!」

 久しぶりの声に、一瞬心が躍った


「カズイチ!お前がロシナンテ、ロシナンテって言うから、ジョセフィーヌでは反応しなくなったぞ!そもそもロシナンテってなんだ?!」


 鎧をガチャガチャ鳴らしながらズンズンと馬舎に入ってくる

 嬉しい気持ちをぐっとこらえ。


「これはこれはエリザベート様このような汚い所に玉体をお運びにな……」

「だから、心にもない事を申すな!」


 お互いにくすっと笑い笑顔がこぼれる。手を洗い飲物を用意しながら穏やかに話しを始めた


「たった数日ですが、なんだかお久しゅうござますね」

「そうだな、なんだか久しい、私日々の軍議と進軍の緊張感でどうにかなりそうだ」


「今のところ順調ですね」

「ああ、参謀諸氏が有能だからな、助かっている」


 僕は笑顔から真顔に戻し、少し低い声で尋ねた


「いえ、順調すぎませんか?」

「……そうだな」


 僕はカンティーンカップに緑茶を入れエリザベートに渡す、僕は僕で、酒保から買ってきた果実酒にミョード酒を混ぜ温めたお酒をすすりながら続ける。


「この先は見た所、樹木の少ない乾燥地帯です、ここらで敵は焦土作戦にでるのでは?」

「参謀連中はあまり懸念しておらぬようだ、毎日声高々に進軍を要請している」


 ――――おいおい、優秀な参謀諸氏よ大丈夫か?

 これだけ戦線が伸びれば補給路を断つだけで、我々は10日とかからず干上がってしまう。

 本日合流予定だった第2次補給部隊がまだ到着していないのも気になる所だ


「これで村々を焼き払われますと、物資の現地調達、炊事用の薪も不足します。住民はどこにも行けず、焼かれた村に残り我々に物資食料を要求するでしょう」


「十分考えられるな……」


 そういってエリザベートは緑茶に少し口をつけると、カップを僕に渡し、果実酒の入った方のカップを僕から奪った。カップを両手で持ち、手を温める、ふ~ふ~と2度ほど冷ますと僕が飲んだ飲み口から何のためらいもなく果実酒を飲む。


 ――――!!!間・接・キ・ッ・ス!!

 ど、ドキドキするじゃないですか!やめてください僕はそういうのに耐性が無いんです!


「かっ……解放を歌っている我々としては、よ……要求を飲まざるをえません」

 ちょっと声が裏返った。


 そして僕も、エリザベートから返された緑茶を一口。もちろんエリザベートの唇の跡からっ!平静を装うが内心ドキドキです。ちょっとの罪悪感と大きなドキドキ、横目でちらっと見ながら唇とのどを濡らし再び続ける。


「3日と持たず物資が無くなりますよ、さらに物資の強制徴収を行ったら、住民はゲリラ化して戦闘になり深刻な事態に陥ります。住民全員を敵に回したら、敵中孤立は必至です、1日程戻ってそこで橋頭堡を確保してはいかがでしょうか?」


「お前は学問だけじゃなく良く状況が見えてるな」

「命かかってますからね、頭フル回転で考えちゃいますよ。」


「そのまま、私の参謀になったらどうだ?」

「有難いお言葉ですが、他の参謀が黙ってはいないでしょう。司令部がギクシャクしますよ、再編成の時に正式な辞令をもってなさるしかないと思います。」


「兎に角です、このまま侵攻を停止し50㎞程後退して、サーチ&デストロイ作戦に移行し後続の合流を待って再び進軍でいかがでしょうか?」


 エリザベートは何も言わず、ふかふかのわら束の上に体を投げ出すように腰かけてた、そして自分の隣をトントンと手のひらで叩く、僕はそれに従い彼女の横に座る。


「今夜はそういう話は止しましょ」


 それはそうだ、その手の話は軍議で重ねて、多分方針は決定しているはずだ

 そしてそういう時は、大体最悪の決定って相場が決まっている。


「おかわり頂戴、このお酒美味しいわ!」

「承知いたしました、ただ少し強いのでお気を付け下さい」


 エリザベートの受け取った果実酒は、ミョード酒が混ぜてあるので甘くて飲みやすい体も温まるのでグイグイいけてしまうのだ、きゅーっと良い飲みっぷりである。


「エリザベート様……お体に障り……」

「なんだと?私に飲ませる酒は無いって言うのか?」


 勘弁してほしいよ、酒保がいくら安いとは言え俺も薄給の身、これでこの出征中は今夜で最後の酒にしようと思っていたのに………

「ヒトの金だと思ってグイグイ飲みやがって!いいとこのお嬢様がよっ!!!」

 と日本語できっぱりと言ってやった。


「またお国言葉か、理解はできんがどうせ私の悪口だろう?」

 流石エリザベート様である、では、試しにこれではどうだ?

 カズイチはドキドキしながら日本語でこう言った。


「私と結婚してくれませんか?」(日本語)


「ん?今のは悪口じゃないな?お前の国の女を口説く言葉か?なんだか言葉の響きが良いな、心地よい感じがする。」


 ――――この女、エスパーか!!まぁ、今日はいいか……

 エリザベートが復唱する。

「ワ…ワッタスィト………ケコンシティ、クレマ…センカー?どうだ?カズイチ通じるか?」

「あはははOKですよ、ちゃんと通じます」」


 彼女にとって異国の言葉であるが、通じたのが嬉しかったのだろう何度も繰り返した。

「で、どう言う意味だ?」


 —————言えるわけありません!!


「それよりも、何か楽しい話をしましょうよ」

 焦りを隠し、誤魔化すように言った


「そうね……じゃぁ……カズイチ、あんた学生の頃、私のお風呂覗いたでしょ?」


 ぶぅぅぅぅ!!!!!!

 僕は緑茶を3メートルは吹いた。


「ちょっと!汚いわね!しぶきが掛かったわよ!エドガー侯爵家ご令嬢の顔にいきなり浴びせるなんてどこの変態?!、あんたいい度胸してるわね!」


「いきなり変な事言うからだよ!!!!」


 ――――バレてましたか~~~~!?


「で、見たんでしょ?どうだった?私のカ・ラ・ダ…?」

 顔が近い、耳元で艶めかしく小悪魔的な声で囁く。


「たっ……大変すばらしかったです……」

 顔を真っ赤にして俯き、小さな声で答えた。


「え~~~!冗談だったのに!ホントに覗いてたの?!信じらんない!帰ったら軍法会議にかけて死刑よ!全裸にして貼り付けて民衆に紐でその粗末なモノ引っ張らせてやるんだからぁ!」

「いやぁあああ!!いっそ殺してっ!」


 そう言って、ぐっと一気に果実酒を飲み干す、かなり酔ってるようだ。

 下弦の月がまるで悪魔の瞳のように青く我々を照らす。


「ちょっと!あんたも見せなさいよ!これでおあいこにするんだからっ!」

「やめて!とめて!やめて!とめて!もぅ勘弁してよぉぉぉぉ~」


 ――――この女!酒癖悪ぅぅぅぅぅ!!


 側から見たらカップルがイチャついているようにしか見えない。

「ねぇ、カズイチ、あんた学生時代エレーナとイチャついてたでしょ?あの森の湖畔で」


「ファ?」


「私見たんだからね!カズイチが押し倒してエレーナに何かしようとしてるとこ」

「なんで?見てたの?」


「あなた、エレーナの事が好きなの?」

 単刀直入ストレートに聞いて来る。


「いえ・・・そこまで意識したことはありませんけど?」

「でも、エレーナはあなたの事まんざらでもなかったみたいよ?」


「ファ?!ちがっ!違いますから!そんなんじゃありませんから!」

「え〜じゃ、カズイチは誰が好きなのぉ〜?」


 ————女子会での恋バナかっ!


「今日はそれを聞き出すまで帰りませんからね!さぁ白状しなさいよぉ」

「いやぁ!!そんなの聞いてどうするんですか?!」


「その女を死刑にする!」

「なんでぇ〜!!」


「大体あなたは私が買った奴隷です!ヒック!今は解放して騎士にしてるけど、私の所有物である事に変わりありません!ヒック!」


「手柄を立てて行く行くは爵位を取って、私と釣り合う身分におなりなさい!ヒック」

「そうじゃないと………ゴニョゴニョ………」」


「そうじゃないとなんですか?」


 エリザベートはスースーと寝息を立てて眠ってしまった。

 肝心要の部分を謎にしたままで。

「カズイチの…バカ…」

 寝言まで腹がたつ





 第16章『大きな力、明朗会計!任せて安心!』


 僕の嫌な予感はやはり的中だ、このまま進軍する事になっている。

 最近はお酒飲みたくても主計担当者の機嫌が甚だ悪い、第2次補給部隊も結局合流できなかった。

 不安を飲みこむように進軍を開始する。


 僕も荷馬車にわらを積み込み後方から付いていく。わら束、飼葉はだいぶ少なくなった、ロシナンテはもっと食わせろと蹄をならし抗議するが、ここから先は不毛の大地だ、辛抱しないと何があるか分からない。


 そうそう、エリザベートの精霊は名をシュクヴァールと言う。


「おい、シュクヴァール頼みがある」

「何だ?カズイチ偉そうだな?申してみよ」


 こいつ、いつも上から目線だ。


「俺の燃料(精力)使っていいから、1分に一回3GHz帯の音波を出して欲しい」

「姫様に危機が及びそうになったら、10秒置きに、危機が迫ったら連続で流して欲しい、どうも嫌な予感がするんだ」


「承知した、それくらいなら汝の精力もさして減らぬであろう」


「ルー、シュクヴァールからの音波を上空100mの位置で受信し続けろ、あと音波のドップラー偏差も監視しておけ、前方がどちらに動くか分かる。」

「クックック、あまり精力は食えぬが良いだろう、我はお前が好きだ死なれてはこまるでの」


「ポー、部隊中央の上空300mに居て周りの大気振動や魔道探知をパッシブで受信し続けろ、何か察知したら、アクティブでピンを撃て」

「分かったべさ、しっかし、ずいぶん省エネモードで行くんだべ?」


 シュクヴァールも最近は僕の言うことを段々と理解して来たようだ。

(ふん、ドップラー偏差は音源の進行方向ほど波長が短く後ろほど波長が長くなる現象を利用して、これを観測することにより我がどちらに移動するかが最後尾にいても分かると言う仕組みだ、なるほど道理じゃ、いままで考えた事もなかったぞ、いまだ我らをそのように使った者などおらぬ、不思議な男だ)


 ポーとルーは付き合いが長い分これらの訓練や学習を行っており、ガズイチの言うことをほとんど理解している。

(クックック、パッシブソナーは常に周りの変化を受信するだけでの!こちらからは何も出さずに回りを探る能力じゃ!敵の魔道探知にも引っかからぬ、ほとんど精力は使わんわぃのぉ、カズイチのやつ随分と体力温存してるではないか)


(アクティブソナーは積極的にこちらから超音波を出し反響定位(エコロケーション)で位置と距離を割り出すんだべさ、そう言えばコウモリがそういう能力持ってただべさ、我々も異界の知識が身についてきたってモンだべさ!他の精霊達にも自慢できるべさ!))


「いざとなったら、また低酸素かゼロ気圧攻撃を撃たないといけないからね、最悪シュクヴァール無で、お前たちの力だけでやることもある、体力は温存しておかないと」

「了解だべさ!」


 シュクヴアールが戻る前に僕に告げた。

「カズイチ、汝は我に力を使わせる、風の最高位である我にだ」

「何が言いたい?シュクヴァール……」


「汝……もぅ風の高位を折伏できるんじゃね?」


 ――――ぁああああああああああ!でしたぁぁぁ!!

 そういうのコロリと忘れてました。


 ふん、とあきれたようにシュクヴァールは中央の司令部、エリザベートの元に戻っていった。

 シュクヴァールがエリザベートの元へ戻ると馬上から前を見つめたまま彼女は問いかけた。

「シュクヴァール、またカズイチの所か?」

「さぁ、何の事やら見当もつかぬ」


「ふん、まぁよい、また何か頼まれたのであろう、私が知らぬとでも思っているのか?」

「さぁな……」


 エリザベートは少し嬉しそうに微かにほほ笑む。

「また、カズイチの奴が我々のよく分からない頼みごとでもしたんだろうな」


 シュクヴァールはニヤリとしただけで何も答えない。


「本当に不思議な男だ、あの日の光景は忘れもしない、最弱の風の精霊のみで1000の大軍を音もなく瞬殺したあの力……我々の理解をはるかに超えている、それに守られているかと思うと……」


 エリザベートはそこで口をつぐみ、口元に笑みをうかべた、その眼には鋭い自信の光がみなぎる。絶対的信頼、大きな力で守られている安心感、その心地よさを感じるとき、力が湧きだしてくるようだ。


 剣を抜き号令を発する

「背後の心配はいらぬ!みな突き進め!」




 その頃後方の輸送隊の所に参謀の一人が下ってきた。

 参謀は僕の横に馬を付けると、こう言った。


「あのお方は最高司令官にして高貴なお方だ、お前ごときが気楽に話して良いお方ではない、いくら学友といえ厳に慎むがよい。昨夜のような……その……破廉恥な振る舞い、本来であらば軍法会議ものだ!あのお方には私のような高貴な家の者こそがふさわしいのだ!」


 ――――前略、エドガーお父さん!、いましたよココに……貴族のバカ息子が……

 貴方の娘を窮地に追いやるタイプのバカ貴族が……


「よいな?しかと忠告したぞ」

 ――――わ~これ、何人か刺客が来るパターンだなぁ……

 ホント、めんどくさい~、敵よりこの手の味方が一番やっかいなんだよね。






 第17章『焦土作戦』


 その後、僕の敷いた早期警戒システムに敵の斥候や工作部隊が感知されそのことごとくをシュクヴァール経由でエリザベートに報告、これを受け兵を動かし敵軍を蹴散らして進軍して行った。千里眼、奇跡のエリザベートと皆が称えたが、エリザベート本人はルックダウンレーダーの理屈は全く理解していない。


 ルーの敷くルックダウンレーダーは敵の魔道感知魔法より精度がいい、と言うより敵にルックダウンの概念はなく、山影や地平線の向こうは感知できない


 敵にしてみれば何故みつかった?!!

 味方にしてみれば、なぜ魔道探知よりはるかに先に師団長が敵を認識できたのか、エリザベート旅団の七不思議に上げられている。


 進軍を続け村々を回るが案の定、ここで到達した町も完全に焼き払われていて何も残っていない、住民たちは行くあてもなく座り込み、我々の到着にも応じる気力がなくなっていた。

 この近辺では最も大規模でおよそ3000程の亜人族の村だ、顔だちはヒト種に似ているが背が小さく肌は緑色、耳が大きく尖っている。


 我が部隊は布告を発し、住民の救済を開始した3000と言えば我が部隊の半数にも及ぶ規模だ、第2次補給隊が間もなく合流すると言う安堵から、惜しげもなく物資を投入する。

 だが次の日になっても補給隊は到着しなかった。分かっていた事なのに、馬の世話係の僕に一体何ができると言うのか?

 僕は手に入る限りの干し肉と乾燥させて潰してある穀物、塩を集め最悪に備えた。水?ああ水は大気中の水分を取り出す事に成功してるので水の精霊が無くてもどうにでもなった。


 補給隊をまって更に3日駐留した、その日の昼前に早馬が司令部に駆け込んでくる

「補給隊が全滅した!!」


 やはりこの事態が来てしまった、外では兵士のイライラも住民のストレスもピークに達している。

 亜人の子どもが、あの嫌な貴族のバカむ……いや参謀に食べ物を要求していた


「この亜人めが!汚い手で触れるんじゃない!」


 馬上から蹴飛ばす、しかし体調を崩した姉と家族がいると亜人の子は必至で懇願する

 この敵国の蛆虫どもめ!参謀は剣を抜き亜人の子どもを突き刺した。


 体が先に動いていた。

「おやめ下さい参謀閣下!その者はまだ子どもです!我々は解放軍ではなかったのですか?!」


「ミシャ!!!」

 亜人の子にヒト族の男が駆け寄る

「ミシャ!しっかりしろ!ミシャ!」


 亜人の子はミシャと言う名前らしい、吐血してか細い呼吸で涙を浮かべている、ヒッ…ヒッ…と短い呼吸をする、まずい!死戦期呼吸しせんきこきゅうだ!大出血がある、圧迫止血をそのヒト族の男に頼み、心臓マッサージと人工呼吸を開始した、除細動機(AED)はこの世界には無い。


 ヒト族の男は驚いたように僕を見た。

「お前…それをどこで…?」


 僕はそれどころではなく、周辺にいる味方に声をかける。


「おい!誰か雷の精霊持ちいるか?!」

 中年の魔道士が駆け寄って来た。

「ワシは雷もちじゃ、どうすればいい?」

「今だけ貸してくれ、燃料は俺…」


「ワシの精霊じゃ、ワシ持ちで良い」

「OKおっちゃん!あんたかっこいいよ!」


 ヒト族の男と心臓マッサージを交代し、急いでプログラムを組む


 このヒト族の男、妙に心臓マッサージが上手いな………そう思ったが、プログラムが先だ


「雷の精霊よ、電圧1500ボルト、電流30アンペア固定!心臓を挟むように……0.0033秒だけ打て!それで150ジュールになるはずだ!頼むヒト種と同じ心臓であってくれ!」


「ほう、こういう使われ方は初めてだ通せば良いのだな?」


 子どもの体が跳ね上がる。心臓マッサージを続ける、バイタルをチェック・・もう一回だ!

 再び子どもの体が跳ね上がり、大きく血を吐いて咳き込んだ、心臓に耳をあて心拍と脈を確認


「よし呼吸、脈拍戻った!ヒーラー回復を頼む!」

 駆け寄ってきたヒーラーがヒールを開始した


 住民から大歓声が起こる、人々は我々救護に当たった面々に感謝の気持ちを伝える、それよりも彼の姉はたった一人の弟を失わずに済んだようだ。

 ふぅと血の付いた手で額をぬぐうと僕はその参謀に蹴り倒された。


「貴様ぁ!敵国の住人を助けるとは!さてはスパイだな?!お前が手引きをして輸送隊を全滅させたのだな?!」


 秘匿事項を大声で言いふらす貴族のバカ息子、当然味方にも住民にも動揺が走る。

「兵よ!この奴隷風情をスパイの容疑で処刑せよ!」

 向こうから兵が駆け寄ってくる、まずい!!


 すると先ほどのヒト族が立ちはだかって妨害をする、彼が言った

「あんたは良いヒト族だ!逃げろ!」

「バカ!やめろ切り殺されるぞ!」

 僕は叫びながらも参謀の馬を奪って走りだした。

 先ほどのヒト族の男が叫んだ。

「異国のヒト族よ!死ぬなよ!」

「すまない!あんた名前は!?」

 カズイチが馬上から大声で名を問うとヒト族の男はこう答えた。


「俺の名はタイチ・ヤマシタだ!縁があったらまた会おう!敵国軍のヒト族よ!」


「!!!!!!」

 ————日本人?!


 カズイチが走り去った後、補給部隊全滅の報にヴェレーロ軍に動揺が走り兵達は浮き足立つ、情報が錯綜し混乱を極め集落はもはや収集つかない状態になっている、最悪の事態だ!


「何事であるか!!」

 エリザベートが兵舎から駆け出して来た。その前を僕は走りぬけた


「カズイチ?」

「姫様!申し訳ありません!!」


「必ず戻ってきます!」


 浮き足立ったヴェレーロ軍に、まるで見越したように敵国軍主力が突入して来たのだ、飢えたヴェレーロ軍に勝ち目はない、敵は自国民の村人がいようがお構い無しにヴェレーロ軍に斬りかかる、各部隊は奮戦したが村人が邪魔で思うように戦えない、見る見るうちに総崩れとなり部隊のおよそ3割を失しない事実上エリザベート師団は全滅した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る