第1話
高校生活にも慣れてきた2年生の春、私は恋をした。いや、恋に落ちたのかもしれない。
『今日って1限なんだっけ?』
『なんでお前はそういつもいつも忘れっぽいんだよ。体育だろ?そろそろしっかりしろよ』
『ごめんごめん、ゆう君が居ればしっかりしなくても大丈夫な気がしてさ~』
『俺がいつまでも甘やかしてると思うなよ』
『ええ!怖いよ!!』
『ははは!嘘だよ』
幼馴染であるゆう君こと祐希くんは家が近いこともあり、こうやって高校生になった今でも一緒に登校している
1限から体育なんて憂鬱だな、なんて思っていたりするのだけれど、毎日のように他愛のない話で盛り上がり、忘れてしまうのだった。
『今日もそれ、あげるの?』
ゆう君の目線の先には私がいつも学校へ持っていく食パンが握られていた。
『うん!今日もお昼休みが楽しみですよ~!』
『今度俺にも見してよ』
『わかった!今度のお昼休みにでも裏庭においでよ!紹介してあげる!』
『行ってみたら犬でした、みたいな落ちはなしにしてくれよ』
『私だって見分けくらいできるよ!!』
『ははは!』
私にはこうも失礼なことを言ってのけるのに、学校ではモテるゆう君がうらやましい
『もう少しほかの女の子みたいに優しくしてくれてもいいのにな!!』
『いまさら俺が優しくしてもキモいって言うんだろどうせ。』
『まあ~それは~ははは』
『なんだその答えむかつく!』
そう言ってくしゃくしゃに頭を撫でてくる手を頑張って払って退けても仕返しすることはできなくて
『も~~!!!20分も掛けて癖っ毛直したのに!!』
『どうせかわんねぇよ!』
そう言って駆けていくゆう君の背中に拳を突き立ててみせた。
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