第10話 解離性障害(ワン)

発病後、10年以上通った大学病院の教授の診断は非定型精神病。統合失調ではないとするものだった。私の病相が大きく変わったのは、2015年6月だ。

家でパソコンをしている時に発狂した。

「ヒヒーン。俺はどうせ、精神病なんだよ」

と無意識に大声で叫んだのだ。

それから、布団の上で「ワン、ワン、ワン」と犬のように鳴き続けた。

当時の医者にこの話をすると、解離性障害ですかね、と言った。

それから、毎晩のように、布団の上でワンと鳴いた。次第に人前でも鳴くようになった。今も、地域活動支援センターという障害者の場では、時々ワンと鳴く。スタッフは無意識だから仕方ないですよね、と了解してくれている。

私の別人格は犬だったのだ。

去年の4月は本格的な解離が見られたが、一時的な記憶障害で片付けられた。今の主治医も、前の主治医も、ワンについては大きな関心を示さない。

今の主治医は、現在の病状を統合失調圏と見ている。私も自己認識を改めた方が良いのかもしれない。

いまは、レキサルティとインヴェガを使っている。統合失調の薬である。

昔は躁状態の妄想でも記憶には残っていた。ところが、2016年から記憶が無いことがある。ヘルパーさんに早朝電話をして歌を歌ったというのだが、記憶がない。去年は、地域活動支援センターで、机の下で弁当を食べたというのだが、記憶がない。今の主治医とは解離性障害について話し合っていない。重要な点かもしれないのに。

今も、ワンと鳴いた。無意識ないし衝動。今後の病状の進展が気になるところだ。

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