吾輩は猫(仮)

かずほ

序章

絶え間なく、人々の悲鳴が響いていたのはいつの頃か。

それが絶え絶えになったのはいつの頃か。

最後に悲鳴を聞いたのはいつの頃か。


全ては過去の出来事。


力なき己はただ、ないて助けを請うだけだった。


だれか助けて。


ココではないドコカへつれていって。


力なき己はただ、ソコから救い出してくれる存在を求め続けた。


そしてのぞみはかなえられた。

そしてのぞむものをあたえられた。


「役割」は「役割」を喪った。

己は「役割」から外された。


しかし、真ののぞみは叶う事はない。

「運命の書」があるが故に。


役割を外された己にとって、運命の書に記されたソレはもはや、文字の羅列に過ぎぬ。


だと言うのに、意味を成さなくなった筈のその書は己に命じ続ける。


「運命」を辿れと。


今や、ちっぽけな存在にしか過ぎぬ己の「運命」。


書は記し続ける。たった一つの己の運命ものがたりを。


何度頁をめくろうと、「ソレ」だけは変わらぬ。



ソレが己の「役割」であれば、果たさねばならぬ。


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