第593話 ぐだぐだ暗黒大陸で九尾なのじゃ

【前回のあらすじ】


 ついにカタクリ〇を依り代にして魔神が暗黒大陸に顕現する。

 そのピンク色のフォルム。そして、そそり立つ勇壮な姿。間違いない、それはとても巨大な冗談商品ジョークグッズこと魔神孔ホール・オブ・オナ


『まだだ。もっと……もっとよこせよ!! カタクリ〇!!』


「そこまでにしておけよパロディ!!」


 そんな冗談みたいな異界の神はまるで物理演算エンジンでも積んだマシンで描画したかのようにゆらゆらと揺れるのであった。

 おそるべし――魔神柱バル〇トス!!


「だから、そこまでにしておけって言ってんだろ!!」


 本家もパロだから大丈夫でしょ。

 とまぁ、そんなぐだぐだな感じで(絶賛筆者ぐだぐだイベント疾走中)。


「のじゃぁ!! ここ最近とみに展開が酷いが、今週は仕事疲れとイベント疲れで更に酷い感じなのじゃぁ!!」


◇ ◇ ◇ ◇


 顕現するピンクの魔神筒ホール・オブ・オナ

 性質の悪い冗談というよりもはや悪夢の類。

 夢であったら早々に醒めて欲しい。異世界ならすぐにも帰還したい。もうなんていうかお腹いっぱいの悪ふざけに、なんの嫌味も冗談もなく俺は胃を痛めた。


 思わず目の前を手で覆う。

 目も当てられない状況とはこのこと。

 何かと危なっかしい同居人のおかげで、その手の展開には慣れていた俺だったが、これほどスケールのでかいトンチキは久しぶりである。


 もうどうにでもしてくれとばかりであった。


「あれだけカタクリ手に入れるのに苦労して、元居た世界に戻ろうと苦労して、カタクリ〇作らせないようにと苦労して、その結果がこの超巨大卑猥生命体」


「どうしよう、桜やん。あれ、ワイのち〇ぽからできた魔神やで。つまり、ワイの子供と言っても差し支えのない存在やで」


「……もはやツッコむ気力すら湧いて来ないこのぐだぐだっぷり」


「ツッコむなんてそんな!! アカンで桜やん!! 子供の前で!!」


 落ち着こう。

 とりあえず、ダイコンタロウを叩きつけて落ち着こう。

 俺は景気づけにいっぱつダイコンタロウを地面に叩きつけて気分を鎮めた。


 もっと言うと、もとはといえばお前がいらんことをしたせいだろうという、うっぷんを籠めてダイコンタロウを叩き割って心を鎮めた。

 ほんと、お前がカタクリ〇がどうとかたきつけていなければ、もうちょっとこう――こんな酷い絵面にならなくて済んだことだろう。


 どうなんだよ。

 ピンク色したラスボスってお前。

 ぷにぷにとしたモザイクかけないと憚れるようなラスボスってお前。


 どうしてこうなった!!

 もうその一言に尽きるよ!!


『まだだ……まだ、オレ変身内部構造は三段階残してあるぞ!!』


「変身の当て字が意味深!! 見た目変わらないじゃないですか、ヤダー!!」


「ふっ、見た目はまったく変わらないのに、内部構造の違いにより微妙な特攻作用を発生させるとは、すごいぜ魔神シリコーンさま」


「流石だなシリコーンさま、さすがだ」


「感心しとる場合かぁ!!」


「のじゃぁ!! この話、もうどうやって収拾つけるのじゃ!!」


「こら、何をそんな強キャラみたいな台詞を使っているの!! お父さんなんてただの歩くダイコンなのよ!! もっと普通に――安っぽい無着色シリコーンみたいにしなさい!! メッ!!」


 ツッコみも収拾もオチも不在。

 どうあがいてもぐだぐだ。

 抜け出せない泥沼展開に俺は曇天を見上げて叫んだ。


 もう仕方ない。

 この世界の神がろくでなしだというのなら、その枠の外にある存在に頼るしかない。

 頼りたくないが頼るしかない。


「助けて!! アネモネ先生っ!!」


 本当は、これ以上にろくでもないことになりそうで頼りたくなくて仕方なかったが、俺は胃世界の駄女神に叫んで助けを求めた。そんなことを言っている間もなく、このままではなし崩しに、俺たちも異世界の悪役にされてしまいそうなので、叫んでいた。


 それからのことは正直に言って――よく覚えていない。

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