第594話 そして一ヶ月くらいの時が過ぎたで九尾なのじゃ
【前回のあらすじ】
もはや混迷極まるぐだぐだ時空。
魔神筒の父がダイコンで、ピンクでモザイク処理が必要。
おまけに
こんな危険なパロディかつ下ネタ、放置していい訳がない。
可及的速やかにどうにかしなくてはと思っても、そんな力は何の能力も持たないパンピー転生者の桜たちには不可能。憐れ、彼は散々に言った駄女神に助けを求めるのだった。
「助けて!! アネモネ先生っ!!」
やれやれ、しょうがないにゃぁ。
◇ ◇ ◇ ◇
タイトルの通りである。
一ヶ月くらいの時が過ぎた。
キングクリム〇ン!!
一ヶ月くらいの時が過ぎた。
過程をすっ飛ばして結果に辿り着く能力を、はたしてあの異世界の駄女神が使ったのかどうかは分からない。けれども、俺たちはややっこしい魔神復活以降のあれやこれや、暗黒大陸の悪逆非道、そしてシュラトのとんちきをすっ飛ばして、その一連の行動が収束する場面へと到達した。
そう――。
『魔神筒顕現!!』
「おっ、おわぁーーーっ!!」
「間違いなく最終決戦なのじゃぁっ!!」
ずらりと俺たちの眼前に広がっているのは多くの兵たち。鎧を着こんだいかにもファンタジーの兵士ですという感じの奴ら。それに相対する、狂暴なゴブリンやコボルトたち。
軍の中央にはシュラト。
他にも、ゴブリンたちを率いて戦うエドワルド。
巨人。
メイド。
そしてはちきれんばかりのダイナマイトボディをしたマニアックスケベな痴女が居た。
マニアックスケベな痴女が居た。
「マニアックスケベな痴女だーっ!!」
「のじゃぁっ!! こんな時に何を興奮しとるのじゃ桜よ!! このたわけ!!」
「せやで桜やん!! マニアックっぷりやったら、ワイはあっちのあきらかにPC9〇世代のツボを押さえたヒロインメイドの方が上やと思うで!!」
あぁ、あっちも確かにな。
PC9〇からWindow〇95世代直撃のメイド文化の極み的なよさみがある。
そしてそこから始まる、現代へと連綿と繋がるメイド強キャラ的な凄みもある。
あれはあれでいい。
けれど、マニアックなボンテージビックボインウワキツエルフもいい。
メカクレなのもいい。なんかこう、いかにも洗脳されてますっていう、ロードス〇戦記のカー〇的な感じな悪役コスチュームも絶妙。
実にたまらない。
なんてこった。
トンチキファンタジーとか言ってたけれど、いきなりそれらしいマニアック度が上がってきたじゃないか。やればできるじゃないか。
けどこれ、超展開なのよね。
なんぞー。
「のじゃぁ!! これはいったいどうなっとるのじゃ!! 誰か、親切な人!! 説明プリーズなのじゃ!!」
「落ち着け加代さん。女神がやったことは女神に聞くに限る。助けてくれと頼んだのは俺だが、こんな展開は望んでいない」
いきなりの超展開。
ボスの能力でも時を十秒くらいすっ飛ばすのが限界だというのに、これたぶん一ヶ月くらい話を飛ばしているぞ。
こんなん読者が納得すると思っているのか。
お前、飛ばすにしてももうちょっと考えて飛ばさんかい。
そんな怒りを込めて、もう一回。
「おぉい!! 女神ぃ!! めがみぃいいい!!」
俺は某RPGリスペクトドラマのような感じで天に向かって叫ぶのだった。
そうすれば、天から後光を差して女神が姿を現すだろう。そんなことを信じて。
はたして――。
「お前らいったいどれだけ話を引っ張れば気が済むつもりなんじゃいないやいわいやーい!! これだけ女神がお膳立てしてあげて、なんやこのへっぽこ異世界転生!! もうちょっとそれらしく異世界チート生活することできへんのかーい!!」
ヤベー女神は思った通り、某ドラマリスペクトな感じで天から現れたのだった。
仏という感じで、精神に語り掛けるではなく、直接空から語り掛けるような感じで、俺たちの目の前に現れるのだった。
お怒りはごもっとも。
俺たちが不甲斐ないことについては認めよう。
それは間違いない。
「お前、この世界には不干渉じゃなかったのかよ!! めちゃくちゃ干渉した上に、なんだか話がややっこしいことになっているんだけれど、これはこれでいいのかよ!! おい、駄女神!! いい加減にしろよ駄女神!! ちゃんと仕事しろ!!」
「しとるわいがな!! アネモネちゃんしっかり異世界の転生女神しとるわいがな!!」
「嘘吐けお前、転生特典取り上げたあげく、時間すっ飛ばすってどういう了見じゃい!!」
「それについては皆さんに悲しいお知らせがあります」
いきなり神妙な顔をする異世界の駄女神アネモネ。
何が悲しいお知らせやねんと白けた視線を向けると、えーそのなんといいますかと、いかにも仏っぽい素振りから彼女はそれを俺たちに告げた。
「長らく続いた、でていけあんたは九尾さん異世界転移編ですが――来週で最終回となります!!」
「「やっとかよフォックス!!」なのじゃ!!」
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