第521話 それでも帰れないで九尾なのじゃ

【前回のあらすじ】


「大変だ!! 君達の行いのせいで、この世界は滅亡する!!」


「「な、なんだってー!!」のじゃぁー!!」


 いつの間にか溜まっていたカルマポイント。

 それがいったいどういうものなのか、聞いただけなのにこの切り返しである。


 流石のアネモネちゃん。

 安定の駄女神っぷりで、今回も登場早々大混乱を巻き起こしてくれるのだった。


 それはそれとして。


 いったい彼らは何をしてしまったのか。

 どうして彼らのせいで、この世界は滅んでしまうのか。

 そもそもこの世界を救うために、桜たちは呼ばれたのではなかったのか。


 いまここに壮大なマッチポンプサーガの全容が明らかになる。


「詳しくは、筆者のもう一つの代表作、どエルフさんを、読んでね読んでねー♪」


「おい!! 露骨な宣伝やめろ!!」


◇ ◇ ◇ ◇


 待てまてマテ。


 なんでそうなる。


 俺ら普通にこの世界での依頼をこなして、クエストをクリアして、実績を解除しただけだろう。そこに世界を亡ぼすような、そんな行いなんてなかったはずだ。


 百歩譲って、したとしよう。


 片栗粉の原材料を集めただけだぜ。

 なんでそれで世界が滅亡するっていうんだ。


 頭がおかしすぎるだろう。

 どんな脳みそしてたら、そんな狂ったストーリーラインを考え付くんだ。


 麻婆豆腐の神父でも暗躍してるんか。

 それなら話は別かもしれないけれど、それにしたって展開が唐突過ぎてついていけない。もうちょっと、まともな筋道を立てて欲しい。


 おかしいやろ。

 俺と加代は世界が滅亡するとキバヤシ顔をするアネモネに非難の言葉を送った。


 それに対して、冗談が過ぎる駄女神は。


「信じられないかもしれないが、これは事実だ。本当に、残念なことにな」


「え、ちょっと」


「割とマジな感じで返してきたのじゃ」


「カタクリ採集。このクエストは破滅を暗示するアナグラムになっていたんだよ。文字を組み替えてみてみたまえ。最終カタクリになるじゃろう」


「いや!! そりゃなるだろう!!」


「アナグラムも何もただのごろ合わせなのじゃ!!」


 嘘なの本気なの、どっちなの。

 安定のMMRネタで煽っているだけなのか、それとも、本気でカタクリが原因で、この世界が亡ぶような状況に陥ってしまったのか。


 このおとぼけ駄女神の言葉尻だけでは何も判断のしようがない。


 困る。

 このなんとも言えない感、本当に困る。


「とにかく、業ポイントがマイナスにカンストしたのは、君たちの悪行によるものです。このポイントを取り戻すために君たちは頑張らなくてはならないのですよ」


「知るか!! カタクリで世界が亡ぶとかバタフライエフェクトもいい所だ!!」


「のじゃぁ!! そんないちゃもんで業を積まされても困るのじゃ!!」


「ほほほ、泣いても喚いても仕方ないのですよ。いいですね、この手探り感。思いがけない行動が、まさかの展開を呼ぶ自由感」


「「不自由感しかないよ!!」のじゃ!!」


 むしろ理不尽。


 俺と加代の怒鳴り声を背景に笑う駄女神。

 そしてダメ押しに彼女は――。


「という訳で、クエストもクリア、業も溜まったボーナスで、幸運値補正がリセットされまーす。これからが、本当の冒険地獄だ!!」


「「やめて、ちょっと本当にやめて、フォックス!!」なのじゃぁ!!」


 理不尽なステータス変更を申し付けてくるのだった。


 ほんと、理不尽。

 あんまりだよフォックス。

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