第477話 暗黒大陸で九尾なのじゃ

【前回のあらすじ】


 次々に明らかになるこの世界の神々。


 大いなる海!! 母の愛!! 人を癒し導く存在!! 海母神マーチ!!

 鉄の巨人を造りし神!! 戦史を紐解けばそこに赤い影!! 軍神ミッテル!!

 生命の歴史に寄り添う鳳!! 全ての生命を造りし神!! 人造神オッサム!!

 怪異、奇怪、魑魅魍魎!! 怪異を愛する神!! 冥府の神ゲルシー!!

 破壊だ!! 機械だ!! 仮面だ!! 破壊神ライダーン!!


「おぁーっ!! 言ってはならん奴なのじゃ!!」


「あっちの方でも触れられてないのに、こんなに触れていいんですか!?」


 いいんです。(白目)


 あっちはあっちですっとぼけがひどすぎて、今後拾えるかどうか分からんので。

 ここら辺で拾っておかないと、拾いきれるか分からんとです。


「「いや、なおさらあっちで拾えよ!!」なのじゃ!!」


 異世界があればその数だけ神の数もある。

 しかし、その神を一から作れるほど、アタイ、大した物書きでもない。

 こんな所でもパロディするしかおまへんのやぁ。


「……いや、ほんと、権利関係ややこしいのはそろそろ卒業しようよ」


「……のじゃぁ。まっとうな一次オリジナル小説を書かないから、周りも評価してくれないのじゃ」


 はい、そろそろそういうのからは卒業して、まともな小説書きます。


◇ ◇ ◇ ◇


 うむ。

 まぁ、一通り聞いたが、今一つこうピンとこない。

 ピンとこないったら、ピンとこない。なんていうか、元ネタにはピンとくるけれど、この状況をどうにかしてくれそうな感じはどの神からもしなかった。


 というか、普通に困っているような感じの様子はなかった。

 特に信仰が失われているとかそういう訳でもナシ。

 いずれかの神が暴れているという感じもない。


 ――うむ。


「困ってる様子なんて全然感じられないんだけれど」


「せやなぁ。なんでワイら呼ばれたんやろ、ちょっと不安になる感じやな」


 この世界の神々が困っているからあの駄女神にヘルプが出たのではないのか。

 少なくともそう聞いてやってきたのだが、とんだ見込み違いだ。

 神の名前や出典はともかくとして、TRPGとして遊べるくらいに仕上がっているバランス感。この状態で、いったい何が問題になるというのだろう。


 うぅん。

 俺と大根はしばし頭を抱えた。


 すると――。


「あ、けど、一つ特殊な神が居てねぇ」


「のじゃ? 特殊な神?」


「さっき言ってた五柱の大神とは別にね、強力な神様が居るのよ。それはね、ここ中央大陸とは違って、西にある暗黒大陸という所で信奉されているんだけれど」


 暗黒大陸。

 なんとも中二病心をそそられるワードではないか。

 そして、古き良きファンタジーを感じさせるワードではないか。


 どきりと、俺の中で、若い頃に失われた憧れが色鮮やかによみがえった。

 暗黒大陸。そして、そこで信奉されている神。


 これは――。


「桜やん、これやで!!」


「あぁ!! これで絶対なにかなかったら、嘘だってもんよ!!」


 明らかにフラグ。そう確信して、俺たちは頭に思い描いた。

 暗黒大陸、その字面から想像される、暗黒な感じを――。


「……まぁ、へっぽこファンタジーだし」


「……言葉の割に、しょーもないところなんやろなぁ」


 しかし、ここまで見せつけられた、トンチキアドベンチャーファンタジー。

 それを思い起こせば、これだという気こそするけれどあまりどきどきわくわくの展開は思いつかないのであった。


 よくて、ちょっと大きいドラゴンか、オークの群れが出てくるくらい。


 うぅん。


「やっぱ、これも、違うんじゃねえ」


「いったい、この世界の神の悩みってのはなんなんだ……」


 再び頭を抱えようとしたその時、のじゃぁ、と、加代の叫び声が冒険者ギルドに響いた。

 それなのじゃ、それなのじゃぁと、なにやら思い至ったように。

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