第453話 異世界グルメで九尾なのじゃ
【前回のあらすじ】
あまりに順調に進む異世界生活。
この作品にて初めて潤う桜家のお財布。
それに対して――。
「まぁね、やっぱり、金はいくらあっても困らんいいますか。稼いだ金で更に稼ぐ。ワイはそういういい循環を作ることの方が大切やと思いますねん」
歩きダイコン、大根太郎氏おおいに語る。
しかしながら、株で儲けようというダイコンにあるまじき言動により。
「メガスラーッシュ!!」
「メガテン!!」
残念、歩きダイコンは真っ二つにされてしまうのであった。
◇ ◇ ◇ ◇
「ほんま堪忍やで桜やん!! ワイがいくら死んだそこからリスポーンする、クソ雑魚モブモンスターやからって!! そんなほいほい討伐せんといてや!!」
「……言ってて傷つかないの、それ?」
「事実やからな!! そういうの受け止めるのも人間の度量やで!!」
度量の前にもうちょっと常識を身に付けていただきたい。
そしてその前に、人間みたいになっていただきたい。
お前、大根だろう。
歩きダイコン、大根太郎の華麗な復活に、俺はため息を吐くことしかできなかった。
女神に貰ったチート能力より、この異常な再生能力の方が厄介じゃないか、こいつ。あと、キャラクターの壊れっぷりも。
最初ムーッシュとかマドマァゼルとかなんか言ってたのに、今はその影もない。
完全に素――大阪のおっちゃんのノリである。
そして、意外に向こうの世界で充実した生活をしていたという、なんとも異世界転移する意味の分からないキャラクター。
もうちょっとこう、キャラも空気も読んでいただきたい。
「ほんと、おめーは、こっちの世界に転移してくる意味あったのか」
「人間な、どんなに裕福で明日の生活の心配が要らん言うたかて、本当に欲しいものが手に入らんってのは、やっぱ生きてて辛いもんやで」
「……欲しいものってなんなのじゃ?」
「ランドセルの似合う嫁!!」
「「変態じゃねーか!!」なのじゃ!!」
大根だから恥ずかしくないもんという感じでのけぞる歩きダイコン。
発言の内容の危うさもさることながら、つい最近まで、そんな奴と同居していたという手前もあって、俺は大いにうろたえた。ついでに、加代も狼狽えた。
あかん、こいつあかん。
この世界の本当のラスボスは、このダイコンなんじゃないだろうか。
「変態じゃねーよ。ランドセルが似合う、ちゃんと成人した、身長が百三十センチくらいの合法ロリの嫁が欲しいんだよ」
「「具体的なのが余計に性質が悪い!!」のじゃ!!」
「なの。ダイコンさん、やっぱりなんか危ない感じなの」
「危なくないでなのちゃん!! わし、健全なダイコンにしてロリコンやからな!! マジでガチなロリには手を出さへん!! それがワイのジャスティスなんや!!」
「ガルルゥ!!」
「なんや!! なんやドラコやん!! そんな睨まんでもええやろ!! 言うたやんけ、ワイは法令を遵守するよいロリコンなんや!! ぷるぷる、悪いロリコンやないよ!!」
そっと距離を取るなのちゃん。
威嚇するドラコ。
モンスター故に直感が告げているのだろう。このダイコンは邪悪だと。
モンスターじゃないけど俺もそう思う。間違いなくそうだと思う。
そして横を見ると加代も頷いていた。
「信用できねぇ」
「のじゃぁ、沢庵にしてうっぱらっちまうのじゃ」
「おほっ!! なるほどね、異世界に来て故郷の名物を売る!! ええやないですのん、異世界沢庵長者!! この漬物でワイは天下を取る――って、コラァーっ!! カニバリズムはあかん言うてるやん、コラァー!!」
そうだな。
こんな煩い大根、おとなしく沢庵になってくれるわけないよな。
そう思いながらも、俺は彼を荒縄で縛り付けると、縁側につるしたのだった。
「あ、あ、あかん、桜やん。こんな激しいプレイ、子供に見せたら。発禁やん、このお話、発禁になってしまうやん。ダイコン縛りぃぃぃいいい」
「「しばらくそうしてろ、この腐れダイコン!!」なのじゃ!!」
「なの!!」
「グルル!!」
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