第439話 異世界サーバー管理で九尾なのじゃ

【前回のあらすじ】


 商業ギルドに仕事を探しに行った桜と加代ちゃん。

 そこで桜はサーバ管理職募集中という謎の仕事を見つけたのであった。


 はたして、異世界サーバ管理とはいったい。


◇ ◇ ◇ ◇


「いやぁ、この街の上下水道を管理しているコントロールセンターなんだけれどね、ロストテクノロジーで造られていて、管理できる人間が居ないんだよ。なんとか、こんな感じかなという体で動かしているんだけれども、学者さんも、魔法使いさんもお手上げで」


「へぇ……」


 もうちょっとしっかり職を探すと言う加代。

 彼女を商業ギルドに置き去りにして、俺は気になる求人――サーバ管理職募集という求人を出していた、異世界の水質管理場にやって来ていた。


 説明にあった通り上下水道を管理している事務所。

 異世界でも水がそこそこ普通に飲めると思ったら、どうやらそういうものが整理されているらしい。ただし、面接官の彼が言った通りロストテクノロジー。現代の文明が発生する前に、現代では再現不可能な技術により作られたものだった。


 ふぅむ。


 ファンタジー作品で、ロストテクノロジーと称してパソコンやらなにやら、それに関する技術が出てくることはよくある話だ。むしろ、一昔前のファンタジーの鉄板と言ってもいいかもしれない。


 もしかしてと思ってやって来てみたが、これは当たりかもしれない。


「で、貴方、それが管理できるんですか?」


 試すような視線が俺に突き刺さる。

 それに対して俺は、ちょっとはったりを利かせて、できますよと答えた。

 面接で大切なのは、はっきりとした態度を見せること、そして、和やかな物腰だ。俺は異世界転移前でしこたま経験したことと、加代を見ていて学んだ知識でこれでもかとはったりをかました。


◇ ◇ ◇ ◇


「で、これが、問題のサーバーになります!!」


「P〇98!!」


「この黒い石板を入れて起動するんです」


「フロッピーディスク!!」


「フロッピーディスクを間違えて起動すると、色っぽい女の子の画像が表示されるんですよね」


「いけない〇狗伝説!!」


 うわぁ、分かる、分かるぞこのシステム。

 分かるけれども――。


「マニアック過ぎません!?」


「人は、信頼して使えるモノを、延々と使い続けていく。そういう生き物じゃないですか。新しいものより古くて確実性のあるものにすがる。商品価値がある」


「そうなんだけれども!!」


 組み込みの現場でも割と見る光景だったけれども。

 うぅん。


 まさか異世界でP〇98見るとは思わなかったよ。

 というか――P〇98はサーバーじゃないから。

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