第434話 異世界に来たはいいけれどで九尾なのじゃ

【前回のあらすじ】


 女神ビーム!!

 炸裂する理不尽展開。

 加代のロリ化が治ったと思ったら、問答無用に異世界に飛ばされる桜たち。

 はたして、彼らの未来はどっちだ――。


「……はぁー、しかし、こんなスーパーウルトラ有能お女神が、たった一作で出番なしとか、正直どうなの作者さん? もっとこう、他の作品でもクロスオーバー、出番を用意してくれてもいいんじゃないの、作者さん?」


 ……検討させていただきます。(げっそり)


◇ ◇ ◇ ◇


 200X年。

 世界は核の炎に包まれた。


「おわぁーっ!! 違う!! 違うぞこれ!!」


「のじゃぁ!! 転生先を間違えてる感じなのじゃ!! というか、200X年って、あり得ない時代なのじゃ!!」


 ヒャーッハーと飛び交うバイクとモヒカン族。

 ここは日本か千葉か東京か。荒野に吹きすさぶ風の中に、茶色いマントの影が見える。アレは、レ〇かそれともケ〇か。


 なんにしても。


「「著作権的にヤバい世界に飛ばすのはやめて!!」なのじゃ!!」


「あ、ごめんごめん!! なんかこう、マッドマッ〇スとかフォー〇アウトとか、そういう世界だから安心して!!」


「「全然安心できない地の文から始まりましたけぉ!?」なのじゃ!?」


 それでは気を取り直してとぴぴるぴるぴるーと言う駄女神の声がする。

 そんな声が木霊する中――俺は花の〇次に出てきそうな大きな黒い馬が、崖の上に嘶く姿を見たのだった。


 雷鳴が無意味に轟く。


 うぅん。カス〇ードかな。


◇ ◇ ◇ ◇


 空。

 真っ青な空を俺と加代は落ちている。


 目の前に広がるのは海。陸は遥か遠く。

 そして、緑色の光の波が、風の中を揺蕩っている。


 手には何故だかサーフボード。


 あかん――。


「加代レカ――!!」


「桜トン――!!」


「そして私は、アネモネちゃん!!」


 いいから早く、問題のない世界に戻して。なんでそんな、作者の著作権が及ばない世界に異世界転生するのよ。おかしいでしょ。


 クロスオーバーするにしても、自家で解決しようよ頼むから。


「だいじょぶだいじょぶ!! これはそのあれ!! なんかこう、未来の一周周った地球で起こるトラパー的なアレだから!!」


「「大丈夫じゃねぇ!! ほぼ大丈夫じゃねぇ説明!!」なのじゃ!!」


「ほんじゃまぁ、エスケープ!!」


 なんで呪文がまた変わるんだよ。

 おかしいだろ。この駄女神ほんともう。


 勘弁してくれ。

 絶対これ、八割悪ふざけだ。


◇ ◇ ◇ ◇


「ブラックフォックス!!」


「ホワイトチェリー!!」


 にらみ合う男と女。

 しかし、ここは異世界ではない。

 どう見ても、現実世界。そして、おんぼろ長屋。

 そしてて出てくる、おっさん。そして、おっさん。


「長き宿縁に決着をつける時が来たのだ!!」


「もはや止まれぬ!!」


「「寄宿学校的だけど、なんかいろいろ混じってる上に、危ない!!」のじゃ!!」


「だってアンタらが著作権がどうとかうるさいから!!」


「「だからってまぜりゃ良いってもんでもない!!」のじゃ!!」


 だから、早く著作権的に問題のない、異世界に飛ばして頂戴よ。

 異世界転生なのに、ちっともわくわくアドベンチャー感がないよ、こっちは。


 あ、ちょっと待って。


「間違っても、緑のナメックが出てくる世界には飛ばすなよ!! 本当に、それだけはやったらあかん奴やからな!!」


「のじゃ、麦わらのなんかにも飛ばしちゃまずいのじゃ!! あと、念能力的な奴にも!!」


「もー、いちいち注文の多い転生者ね。せっかく二人で転移するんだし、それだったら、タッグトーナメントに謎のチームとして飛ばしちゃうぞ!!」


「「だからやめろよゆで先生巻き込むの!!」じゃ!!」


 ツッコむ俺たち。

 そんな俺たちの声など軽く無視して、ぴぴるぴるぴるーっと、また、性悪駄女神の呪文が聞こえたのだった。


 あぁ、今度こそ、ちゃんとした異世界に転移できますように――。


「まぁ、著作権的に問題なくても、ぶっちぎりにどうかしている異世界なんですけどね」


「「もうやだ!! こんな異世界転移!!」なのじゃ!!」

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