第118話 波間の国で九尾なのじゃ
【前回のあらすじ】
なんということだろう。主人公はついに死んでしまった。
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「つまり、ここは、天国ということなのか」
「南の島に天国があるなんて、なかなか洒落てていいね」
まったく
「まぁまぁ、そう、結論を急がなくてもいいじゃないか。ほら、お
「そんな世間話しに来た訳じゃないんだから」
「おっ、これ、結構いけるよ桜くん」
言われるままに食ってる部長。
名前は聞いたことはあるが、どういうものだかはあまりよく知らない。
そういえば、日本の神話でなんだったか、
うぅん。
「どしたのさ。大丈夫だよ、口にしても死んだりしないから」
「いやけど」
「やっぱり黄泉の国と勘違いしてるよね。ちがうよ、
「似てるところではあるがな。あっちは
言っている意味はさっぱり分からんが、死後の世界ではないということか。
おそるおそる、俺は、出されたその
うまい。
べらんぼうめにうまい。そりゃもう、人生で食べたことないくらいに、だ。
甘みと酸味がほどよくあり、それでいて濃厚なうまみが口の中に広がる。何個だって食べたくなる、妙な中毒性がそれにはあった。
ぺろりとたべてしまったのは、うまさのほかに、腹が減っていたということもあるのだろう。
「この島の特産品なんだよ」
「だいたい持って帰るんだよな、ここ来た奴は」
「帰った奴――えっ、ちょっと、待ってくれ、帰れるのかここから?」
もう一個、
食うのか聞くのかどっちかにしろよと、ちいさいおっさんがあきれた感じで笑う。それにつられながらも、美青年は俺に向かってもちろんと
「言っただろう、黄泉平坂じゃないって。ここには来るのも自由、去るのも自由」
「そうそう。オオクニヌシの奴だって、ここから色々ともって帰っていったぜ、嫁さんまでもらってな」
「え、他にも住人いるんですか」
「というか女の子も居るの? いいねぇ、スナックとか、キャバクラとかないの」
部長。
おい、部長。
もうちょっと危機感持ってくれ。
女と聞くや、でへでへへと、笑って鼻の下を伸ばすエロオヤジに、俺は
ある訳ないだろう、こんなところにキャバクラなんて。
「あるよ、キャバクラ竜宮城」
「乙姫ちゃんを
「好きな口!! ちょっとぉ、そういうの早く言ってよ。
「部長ぉっ!!」
マグロ釣りにマーシャル諸島くんだりまでやってきたんじゃないのかよ。
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