第六章 折れた翼 ──または、大和、発進!
第六章 第一話
その朝。
ミーナからの伝達
だが、
ふと、部屋に入った芳佳の目に、坂本の烈風丸が飛び込んでくる。
「……」
烈風丸に近づき、手に取り、
刀身がオーラを帯び、
「わっ!」
「
だが、
ふっと意識が
「宮藤!」
ちょうどその時、部屋に
「しっかりしろ、宮藤!」
「……坂本さん?」
「よかった、立てるか?」
「は、はい」
まだ少しふらつくが、この感じは初めてではない。
そう。
「あの、坂本さん、その刀……」
芳佳は烈風丸に底知れぬ
だが。
「
烈風丸を
「二度とこの刀に
「はいっ! すいません……」
芳佳は小さくなるしかなかった。
* * *
それからしばらくして。
ミーナと坂本の姿は、連合
もちろん、係留する軍艦の中には、大和の姿もある。
「何ですって!」
と、声を上げたのは坂本。
軍港の司令部に
「将軍、それでは今回の作戦にウィッチは必要ないのですか?」
ミーナが
「そうではない。だが、ネウロイの巣を倒す主戦力は、ウィッチではない」
居並ぶ将軍のひとりが答えた。
「巣が相手となると、話は別だ。君たち501航空団にしたところで、ネウロイの巣を直接倒したことはあるまい?」
もうひとりの将軍が
「確かにそうですが、しかし……」
「ミーナ
最初の将軍が目を
「はい。ヴェネツィア上空のネウロイの巣は、我が扶桑海軍戦艦、大和が
「え?」
ウィッチと比べ
そのことを知るミーナは
「艦長、通常兵器である戦艦では、空にあるネウロイの巣を倒せるとは思いません!」
同じ扶桑海軍に所属する坂本が杉田に向かって言った。
「通常兵器ではないのだ、少佐。あれは……戦艦大和は、我々の決戦兵器なのだ」
杉田に代わり、将軍が答える。
「決戦……兵器?」
「その通りです」
将軍の言葉を
「我が扶桑海軍では、ガリアでのウォーロック実験を研究した結果、より安定度の高いコアコントロールシステムを開発しました。
「大和をネウロイ化させるですって……」
ウォーロックの悪夢が頭を
「血迷ったか!」
坂本は
「ネウロイを倒せるのはネウロイだけ。巣を倒すのはウィッチでは不可能だ」
「ウィッチに不可能はありません!」
将軍の言葉に、思わず前に出る坂本。
「私の真・烈風
「何を言っているんだ、坂本少佐」
将軍たちの反応は冷ややかだった。
「本来なら君は
「この作戦が失敗したら、
「……」
つまりは解散、ということだ。
「会議は終わりだ。明日10時より、ネウロイ撃退作戦、オペレーションマルスを発動する!」
「将軍!」
「やめなさい、坂本少佐」
「501統合
「
ミーナは敬礼した。
基地に帰ると、ミーナは一同をミーティングルームに集め、作戦の
「以上が最終作戦の内容よ。持てる
「……もし失敗したら?」
バルクホルンは大和
「失敗すれば、ロマーニャ全土はネウロイに明け渡すことになる。そして、501航空団も解散することになるわ」
「明け渡す? 501が解散? そんな
「納得してる訳ないじゃない!」
バルクホルンに思わず言い返すミーナ。
「……でも、この先、
ロマーニャを明け渡すという言葉に、思わず泣き出すルッキーニ。
「
こういう時に、シャーリーの明るさは心強い。
「……勝てばいいんでしょ」
冷静に言うサーニャ。
「そ〜だ! 勝てばいいんじゃん!」
もちろん、エイラはサーニャの言葉を指示する。
「ですわね」
「うん、勝とう!」
「絶対勝つよ!」
ペリーヌ、リーネ、芳佳も心を決めた。
「そ〜ゆ〜ことだよ、トゥルーデ。何、弱気になってんのさ?」
ハルトマンが、バルクホルンをからかう。
「ち、
「ひとりになんてしないわ。私たちは11人でストライクウィッチーズよ」
と、
「そうです! 11人いれば、絶対に勝てます!」
力強くうなずく芳佳。
だが、芳佳が同意を求める視線を坂本に向けると……。
「……11人か」
坂本は
夜になり。
先ほどの坂本の様子が気になった芳佳は、坂本の姿を
部屋に坂本の姿はない。
坂本は
「今夜だ。何としても今夜中に真・烈風斬を完成させねば」
坂本は足元に
それでも何とかユニットを発進させ、
そこにはミーナが立っていた。
「!」
ミーナを
立ち上がれない坂本を、ミーナは
「ミーナ、知っていたのか?」
いつの間にか、雨が降り出していた。
「いつか、こうなることは分かっていたわ」
「……そうか」
「まさに
ミーナは烈風丸に視線を
「戦場で使える力と引き
「まだ、私は戦える!」
坂本はストライカーを
だが、オーラが刀身を包んだのは一瞬だけだ。
「もう
「まだだ! 私は必ず真・烈風斬を完成させる!」
子供が
「
願いも
「お願いだ! 私も11人の中にいさせてくれ! ミーナ、頼む!」
その
「美緒」
降りしきる雨の中、ミーナには抱きしめてやることしかできなかった。
そして。
「……そんな……坂本さん」
坂本を捜して格納庫にやってきていた芳佳も、すべてを知ってしまっていた。
* * *
昨晩の雨から一転して晴れ上がった
目的地はネウロイの巣が居座るヴェネツィア。
大和は無人で、
「ウィッチだ!」
「ストライクウィッチーズだ!」
上空にストライクウィッチーズが姿を現すと、各艦上の水兵たちが
「これが大和か……」
大和の上を通過しながら、バルクホルンは
「でっけ〜な」
やがて、前方の雲を
その上空の、巨大なネウロイの巣も。
ネウロイの巣からは、
「艦長、ネウロイの
天城の艦橋にいる杉田艦長に、長年副長を務める樽宮が告げた。
「大和、ネウロイ化まで後3分!」
と、技師が艦長に報告した瞬間。
空からビームが照射され、先行する駆逐艦に命中した。
「ニコラスが攻撃されました!」
一気に
「総員、
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