第一章 コッチネッラ大作戦 ──または、テントウムシの狂乱サンバ
第一章 第一話
新ウィッチーズ基地周囲には、
マイナスイオンが放出される
全長150cm弱。
フランチェスカ・ルッキーニ少尉だ。
少尉は視線を油断なく
「じゃじゃ〜ん!」
障害となる手前の木の葉を
そこには彼女の標的となる、カブトムシとクワガタがいた。
「ニヒヒ」
ルッキーニは
すると。
「ん?」
ふと気づくと、見たことのない虫がいた。
一見、テントウムシのようだが……。
「うわ〜、
顔を
* * *
「みなさん、おはよう」
「おはようございます!」
まるで中学生のホームルームのように朝のミーティングが始まった。
「今日の通達です。先日来の
ミーナが一同に告げる。
「やった〜っ!」
「お風呂、お風呂!」
「では、各自、今日は自由行動です。お風呂の件、
担任の先生、もとい、ミーナは書類を閉じる。
「良かったね、芳佳ちゃん」
あまりにも喜び過ぎの芳佳に、リーネが声をかけた。
「うん! リーネちゃんも入ろうね! あ、ペリーヌさんも!」
「まあ、
と、言いつつも自分が坂本と二人きりで入っている
少しもスッキリしていない。
「さ〜っ! お風呂入ろ! お、ふ、ろっ!」
タオルを
「聞いてなかったのか? 風呂が使えるのは正午からだ」
「えええ〜っ! まだ
「風呂に入るまでまだ時間がある。ということで、風呂を楽しく入る方法があるんだが?」
坂本はニヤリと
「え? なんなんですか?」
きょとんとする芳佳。
「訓練で汗をかけ! 全員、基地の周りをランニングだ!」
「ええ〜!」
と、エイラとルッキーニ。
「つべこべ言わずに走れ!」
「は、はい!」
一同は、この場に居合わせたことを心底
「まったく、何で風呂
「それで英気を養えるならいいんじゃない?」
ミーナは自分の
「……
「最近はネウロイと戦うよりも、上層部と
「そう言えば、
「長い間、199機のままね。あと1機落とせば
ことデスクワークに関しては、坂本はまったく
よって、ミーナの負担は、他の隊の隊長と比べ5割増。
気苦労が絶えず、肩が
「ミーナもせっかくだから入ったらどうだ」
「お風呂に? う〜ん」
ミーナはちょっと考えてから首を振る。
「でも、この後も書類の整理が残っているの」
「そういう疲れた時こそ、ゆっくりと風呂に入って温まった方がいいんだが」
「
ミーナはミーティングルームを後にした。
* * *
「虫? どんな?」
ランニングを続けながら、芳佳はルッキーニから今朝発見した
「んとね、こんくらいでね、すごくキラキラしてんの!」
ルッキーニは、指を使って大きさを示す。
「あとで芳佳にも見せてあげる!」
「うわ〜、楽しみ〜!」
芳佳は虫と同じくらい、
ところかわって。
「ふんふんふ〜ん」
シャーリーは自室で機械工作を行っていた。
バイクのチューンナップに、複葉機の整備、ストライカーのメンテと、シャーリーの自由時間のほとんどはメカニックに
ダイナマイトバディの
「ふふんふ〜ん」
シャーリーはルッキーニと同部屋。
その虫かごの
ブ〜ンと飛んだ虫は電線に止まる。
ギュ〜ン。
「あれ? ん、停電か?」
シャーリーの工作機械が停止した。
虫は再び飛び立つと、
虫が近づく
もちろん、室内の明かりもだ。
サーニャたちの部屋も
そして。
バルクホルン
カールスラントのWエースを、そもそも相部屋にしたのが
片付けるという言葉がそもそも脳内にインプットされていないハルトマンのずぼら
「何ものも、ジークフリート線を
部屋を真っ二つに仕切る板のこちら側は、キッチリスッキリ。
バルクホルンは仕切り板に引っかかっていた
「おい、起きろ、ハルトマン! もう昼だぞ!」
「ん……あと40分……」
ベッドの上から
「またか!? 何があと40分だ!」
思わず反対側に
「大体、カールスラント軍人がこんな
転がっていた
「しまった!」
仕切り板が
「ハルトマン! 起きろ! 起きて何とかしろ!」
必死に仕切り板を支えながら
「え〜、何〜?」
「起きろ〜!」
「ん?」
「うわああああああっ! わ、私のジークフリート線があああああああああっ! こら〜っ、ハルトマン! 起きろおおおおおおおおおおっ!」
ガラガラズッシャ〜ン!
ジークフリート線、あっさり
こうして、バルクホルンはガラクタとゴミの山に
* * *
正午である。
「よし! 時間だ、入ってよし!」
時計で
「わ〜い!」
「お
待ち構えていた芳佳とルッキーニ、そしてリーネとエイラは風呂場に
「ん、どうした、ペリーヌ? 入らないのか?」
ペリーヌだけがまだモジモジしているのを見て、声をかける坂本。
「あ、あの、
「私は朝練の後に行水したからな。今日はもういい」
「そ、そうですか……」
「?」
その姿を不思議そうに見送った坂本は廊下に出たが、ほぼそれと同時にテントウムシのような虫が飛んできて脱衣場に
「うわあ〜!」
「すごい!」
「広い広〜い!」
広い
「やっほ〜いっ!」
ザッブ〜ン!
と、真っ先に飛び込むルッキーニ。
「気持ちい〜い!」
2番手は芳佳。
「リーネちゃんも入りなよ〜!」
「う、うん」
タオルで前を
「何
そのタオルをエイラが
エイラ、サーニャが相手でなければ、
「ちょっと! エイラさん!」
「うおっ! リーネ、前よりもでかくなったんじゃないか?」
なってるのである。
育ち盛りである。
エイラの手は、もう自然とそのふくよかな
「ちょ、ちょっと! やめてくださ〜い!」
ついでに言うと、成長過程の胸は
「芳佳はどうだ〜?」
ルッキーニが中年オヤジのように、背後から芳佳の胸に
「あっ、やめて〜!」
「むう〜、残念」
満足度、マイナス98%(リーネ比)である。
「残念!? 残念って何!」
これでもほんの少しは大きくなってるんじゃないかな〜、などと
「な、何て下品な!」
最後に静々と現れたペリーヌはこの光景に絶句した。
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