第一章 第五話
「コア、
と、ご
その手の中のM1919A6からは、白い
「こちらも
冷静な声で
使用
「十発十中だよ! すごいでしょー!?」
「作戦を
バルクホルンは、ルッキーニの自画自賛を軽く流す。
「坂本様〜っ! ご無事ですか!?」
坂本の姿を求め、落ちてゆく巨大ネウロイに向かって加速するのは、ペリーヌ。
「ペリーヌの奴、どさくさに
笑っていたルッキーニは、ネウロイの上方に坂本の姿を発見した。
(あれって……)
ルッキーニの瞳に映る坂本の腕の中には、抱きかかえられた芳佳の姿が。
(……東から来た、新しい魔女ってこと?……ふうん、ちょっとは
「あら?」
ペリーヌも芳佳に気がつく。
「な! ななな、何ですのアレは!?」
自分以外の少女が坂本の腕に抱かれているのを見たペリーヌは、顔を真っ赤にして
ペリーヌにとって坂本は、
「誰なんですかーっ!?」
「ん……あれ……?」
ゆっくりと
「気がついたか?」
「坂本さん」
「よくやってくれたよ。お前がいなかったら、私もどうなっていたか」
坂本は微笑む。
「でも……私、また最後に失敗しちゃったし」
コアを撃ち抜いたのが自分ではなかったことを、芳佳はぼんやりと思い出す。
誰が、あのコアを……?
「何言ってるんだ。初めてであそこまでやれたら上出来だ。ほら、見てみろ」
坂本は、洋上の空母や救命ボートを指さした。
激戦を生き延びた空母の
「……お父さん……私……私……」
* * *
傷ついた空母が
(お父さんに会ったら……最初になんて言おう? ずっと
窓
(家から持ってきたおばあちゃんの梅干し、食べてもらおうっと!)
やがて、二人が乗った軍手配の車両は、のどかな田園風景を通り抜け、午後
だが、しばらくして。
芳佳たちは、石の土台だけを残して消失した、
「ここが……?」
父の手紙と廃墟を見比べていた芳佳は、
「ああ。五年前まで、宮藤博士はここでストライカーの開発をしていたんだ」
そう語りながら坂本は、手紙を握った芳佳の手がだんだん下がってゆくのを見て、胸に痛みを覚えた。
「あの事故の日も……」
「坂本さん……。坂本さんは、知っていたんですか?」
「……済まん」
「いいえ」
芳佳は振り返った。
その顔には、
「私の方こそ、わがまま言ったのにここまで連れてきてもらえて、感謝しています」
二人の足元では、小さな花が風に揺られていた。
研究所の廃墟から、湖にかかる橋を
「私も、かつては博士とここで過ごしていたんだ。……その手紙も、やはりその
「お父さん、いつも間が悪いんですよ。小学校の入学の日に出て行って、
やがて二人は、ひとつの墓の前にたどり着いた。
「親子なのに、
芳佳は墓石の前に座り込み、墓標を
と、その時。
「!」
芳佳は、墓標の下の部分に何か文字が刻まれていることに気がついた。
「これ……」
坂本は芳佳の
「その力を多くの人を守るために」
懐かしむような色が、その左目によぎる。
「……博士がよく言っていた言葉だ。ストライカー・ユニットも、そんな博士の
「……お父さん」
やがて、想いが溢れ出したかのように、芳佳は泣き出した。
空が
「行くか?」
坂本は芳佳に声をかけた。
「はい。あ、あの!」
「ん?」
「あの…………私を、ストライクウィッチーズに入れてください!」
「……何!?」
「ここに残って、私の力を使いたいんです。もっと、たくさんの人たちを守るために……」
「宮藤……」
「きっと」
芳佳はもう一度、父の墓標に目をやった。
「お父さんも、そう願ってると思うから……」
「そうか。よーし、分かった!」
坂本は破顔した。
「あとは私に任せろ、一人前のウィッチになれるよう、ビシビシ
「は、はい!」
そして、その夜……。
ウィッチーズ基地の兵舎の前に、隊長のミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ
「え〜」
坂本が、一同に芳佳を
「今日付けで、連合軍第501統合
ペリーヌは敵意を
「宮藤芳佳です! よろしくお願いします!」
芳佳はにっこりと笑って、戦友となる魔女たちに
こうして。
扶桑を旅立った新米ウィッチ宮藤芳佳の、ブリタニアでの戦いの日々が始まった。
……のだが。
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